出版社内容情報
あなたは、ただひとつの恋人だった--。『君の嘘と、やさしい死神』の著者が贈る、号泣必至のラブストーリー。佐藤真白は、義肢のリハビリ専門病院で事務スタッフとして働いている。外見が生身の女性と
寸分違わぬ精巧さで作られているが、実はある研究機関から送り込まれたアンドロイドだ。ある日、院内の庭で散らばったカードを集めている青年・響に
声をかけられる。響は事故で左腕を失い、義肢のリハビリのため病院へやってきていた。屈託
なく笑う快活な響とのふれあいの中で、真白の中で処理しきれない感覚が生まれて…。
青谷 真未［アオヤマミ］
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポップノア@背番号16
79
読友Ｓさんのおすすめ。アンドロイドの真白は勤務する病院で患者の響と出会う。言葉を交わす内に彼に恋をし、人間になりたいと願い、次第に合理性を欠いた行動を取るようになる···。真実を告白してからの中盤以降は一気読み。休日でもないのに１日で読み終えてしまう程魅せ方が上手く、しかもどんでん返しのような展開でまさかの二部構成。いや、三部構成か。いかにもラノベ然としたタイトルだが、いつしか切なく胸に迫ってくる。当然設定に違和感もあったが、後半はそれを逆手に取っているのが凄い。元々好きな作家さんだが、更に好きになった。2020/01/09
dr2006
60
アンドロイドの心情をこんなに繊細に表現した作品があっただろうか。バイアス抜きにして凄く面白かった！佐藤真白は義肢の専門病院で働くアンドロイドだ。技術が進み外見が生身の人と変わらないレベルになり、周囲の人は彼女がアンドロイドだと気付いていない。ある日の休憩中、真白は中庭で患者の響と出逢う。彼は曖昧さを廃した会話をする真白を変わった「人」だと言う。真白は彼と接すると非合理的なエラーを起こさないはずの自分が誤動作を起こすことに気付く。まるで恋に溺れる人が非合理的な行動をするように。果して真白のエラーの正体とは？2021/03/01
いわし
53
周囲に気付かれずに病院で働くアンドロイドの真白と、義肢のリハビリのためその病院に通う響の恋の物語。エラーのような感情に思い悩む真白が可愛くて、素直に気持ちを表現する響が格好良くて、この恋が成就したらいいのにと心から思う。だけど。この恋はきっと叶わない、だって同性だから。兄妹だから。画面に入れないから。世の中にたくさんある恋を諦める理由が書かれたラベルの中でも、「人間じゃないから」は重い枷だ。2人のピュアな想いを見守りたい。アンドロイドの恋なんて、おとぎ話みたいだなって僕は思うけど、だけど絶対に笑わない。2023/07/01
assam2005
50
読了後に残る余韻、胸をぎゅっと締め付けられるこの気持ちがたまらない。恋する気持ちはどうやって生まれてくるのか。相手の姿か、仕草か、それとも言葉か。理由があって好きなのではなく、ただただ忘れられない人。その人を思うだけで嬉しくなる気持ちが読んでる私にまで伝わり、読んでる私が恋に落ちたかのよう。徐々に贅沢になり、ただ好きだと思う気持ちだけでは足りずに、相手の本当の気持ちを知りたくなり、思いを返してほしくなる。好きだという想いはプラスにもマイナスにも大きく作用し、人生をも左右する。その想いはきっと本物だよね。2019/02/24
よっち
46
義肢のリハビリ専門病院で事務スタッフとして働く、実はある研究機関から送り込まれたアンドロイドの佐藤真白。そんな彼女が事故で左腕を失い、義肢のリハビリのため病院へやってきていた青年・響に出会い処理しきれない感情が生まれてゆく物語。自分の中でうまく処理しきれない感情を持て余す真白と、ぎこちない彼女にしっかりと向き合ってくれる響。そんなアンドロイドには本来ないはずの「エラー」に心揺れる彼女が真実を知ってからの思わぬ展開は切なくて、いつかこんな日が来るんだろうかとつい思ってしまうピュアで甘酸っぱい恋の物語でした。2018/12/28
