出版社内容情報
一期一会の人情ごはん。
気鋭の作家が描く連作短編集。
あの日、ぼくは初めてあやめさんを食事に誘った。銀座裏通りにある、小洒落た建物の「四月一日(わたぬき)亭」へ……。オムレットにメンチボール、カットレット、特別な日に食べるホワイトライス――誰かと一緒に食べる料理は、じんわり心に沁みてくる。大正末期、日本が自由で穏やかだった時代。懸命に、ひたむきに生きる人々が集う、美味しい西洋料理店。
内容説明
あの日、ぼくは初めてあやめさんを食事に誘った。銀座の裏通りにある小洒落た建物の「四月一日亭」へ…。オムレットにメンチボール、カットレット、特別な日に食べるホワイトライス―。誰かと一緒に食べる料理は、じんわり心に沁みてくる。大正末期、日本が自由で穏やかだった時代。ひたむきに生きる人々が集う、美味しい西洋料理店で一期一会の人情ごはんをどうぞ。読むと思わず泣けてくる、気鋭の作家が描く連作短編集。
著者等紹介
加藤元[カトウゲン]
1973年神奈川県生まれ。2009年、第4回小説現代長編新人賞を「山姫抄」で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
88
大正末期の本はあまり読んだことがなかったので興味があり、表紙を見てほっこり系かと思ったらイメージと違いました。しかも洋食屋さんだけどあまり料理については出てこなかったのが意外でした。軍隊の話とか、風俗の話とか、最後は大地震で終わってしまいました。それでも出てくる人がどこかで繋がっているのはよかったです。特にセリちゃんの恋はどうなるか?あやめさんを見つけ出すことはできるか?気になっていたので知れてよかったです。
ゆみねこ
69
大正末期、銀座の裏通りの洋食屋・四月一日亭を舞台にした物語。徴兵制度があり、男子は20歳で強制的に兵役に取られる時代。貧しくて春をひさぐ女性も多かった。洋食屋はあの時代の人たちには憧れの場所だったに違いない。2018/02/11
おかだ
36
大正時代、銀座裏通りの洋食屋さんを舞台にした人間模様。ハイカラな洋食を前に胸躍らせ嬉しそうに舌鼓をうつ大正モダンガールモダンボーイ、みたいな話だと思うじゃん?全然違うんだぜ。むしろ洋食は添えもん(料理におけるパセリ)程度の存在感で、この時代の人々の世知辛い暮らしっぷりに重点が置かれ、徴兵の過酷な暴力やら街にありふれた犯罪やら身売りやらで心がささくれだってくるし、極めつけに関東大震災がスタンバってるから。なんか飯テロとは全然違う意味で美味しい洋食が食べたくなった。2023/08/04
coco夏ko10角
33
大正時代のお食事ほっこり本と思って手に。兵役や春をひさぐ女性、ままならないこと…当時のしんどい部分が書かれた本だった。もう少し軽いのを読みたい気分だったらからちょっと合わなかったな。逆にそういうのを読みたい人に届いてないのでは、とも。2018/10/28
ごいんきょ
9
洋食屋、四月一日(わたぬき)亭にかかわりのある人たちのオムニバス。しんみりとします。2018/05/20