出版社内容情報
美雨が学校から帰ると、母は家出、ふだん家事をしない父が本格的な料理を作っていた……料理を通して家族を回復していく温かな物語。
内容説明
ある雨の日、学校から帰ると、家の中にはお料理のいい匂いが立ちこめていた。ほら、包丁の音も。大鍋にグツグツとなにかが煮えていて。コトコト音を立てている中くらいの鍋は、きっと肉じゃがだ。家事などしたこともないお父さんが超本格的な料理をしていて…お母さんは家出していた―!!家族のドラマは波瀾万丈。でも、心に美味しい、幸福な物語。
著者等紹介
しめのゆき[シメノユキ]
千葉県出身。出版社に勤務、バレエの専門誌や単行本の編集に携わる。在職中、バレエ雑誌に連載した「ティアラちゃん」シリーズが単行本となる。退社後、児童文学の創作を始め、音楽物語の台本・翻案なども手がける。2013年、日本児童文学者協会長編児童文学新人賞佳作を受賞。「栞」同人。日本児童文学者協会会員。『美雨13歳のしあわせレシピ』が児童文学作家としてのデビュー作
高橋和枝[タカハシカズエ]
神奈川県に生まれる。東京学芸大学卒業。絵本の作品に『わたしのフモフモさん』「くまくまちゃん」シリーズなど。幅広いジャンルで活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
天の川
36
家事が下手だった優しいお母さんが家出して、気難しくて何を考えているかわからなかったお父さんが美雨のために料理を作ってくれる。お父さんの料理はプロ級だった。お父さんが自分たちのことをどう思っていたか、どんな夢を夫婦が抱いていたか、次第に知る美雨。わかりあおうとする姿勢が、これまで家族の誰もに欠けていたのではないか…そう感じた美雨は、学校でも一歩踏み出せるようになっていく…予定調和のエンディングでしたが、温かい気持ちになる話でした。何より、家族の歴史を刻むお父さんの料理が本当に美味しそうでした♪2015/09/23
小夜風
28
【図書館】お父さんの作る料理も、学校での美雨ちゃんの頑張りも、お父さんとお母さんの馴れ初めも素敵だった……けど、子どもを置いて出ていってしまったお母さんにだけは、同じ母親として怒りを覚えました。それがなければこのお話は始まらないし、欠かせないエピソードなんですけどね。女子の複雑な友だち関係はキレイにまとまっていたけど、うちの子が読んだらどう思うか聞いてみたいな。高橋和枝さんの挿し絵も良かったです。2015/10/11
あつひめ
26
最初に疑問が浮かんでしまった。どうしてお父さんが食事やお弁当を作ってくれることを友達に隠してしまうのかな。お父さんが作るお弁当だって自慢しちゃえばいいのに。そういう些細なことを大きく考える年ごろなんだろうか。この家族の意思の疎通、美雨の友人たちとの関係。どれもあと一歩踏み込めばお互いの気持ちがわかりそうなのにと歯がゆくなる。心が爆発すると人は本音が出るのだろうか。どうにも誰の心にも寄り添えないまま最後までたどり着いてしまった。まるで自分が中学生となり心細いまま学校生活をしている気分を読後に味わっている。2024/12/04
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
12
料理が苦手なお母さんが突然家出をする。その時からお父さんが毎日のご飯を作るようになる。それまでギクシャクしていた父と娘だけど、料理を一緒に作り始め絆がうまれていく。主人公の美雨は学校の友達との関係にも悩んでいたが、本当に心から大切と思える親友が出来ていく過程が自分の中学時代を思い出しました。親友に会いたくなぁ。自分にとって関係ある人々との絆の大切さを教えてくれた素敵なお話でした。2015/10/23
mincharos
12
妹に勧められて読んだ。「お姉ちゃんもいつか家出してみた方がいいよ!」だって。児童書なんだけど、大事なことが分かりやすく丁寧に書かれていて、私も家族との日々の暮らし方について考えさせられた。一緒に暮らしている家族。それが「当たり前」になり過ぎてしまうと、大切なことを伝えることすらしなくなる。そういう状態でただ一緒に暮らしているだけでなく、きちんと会話をしてお互いを知る努力をしないと、もしかしたら溝がどんどん広がって収拾がつかなくなるのかもしれないと。美雨が勇気を出して友達に訴えたシーンでは涙がこぼれた。2017/09/04