内容説明
古来、泰山山頂の金篋(金の篋)のなかには、すべての者の生死を記した禄命簿『玉策』があるとされる。それがあれば、人の寿命を知り、またその運命を変えることもできるという―。生意気だけど心やさしい彼女の正体は、人の運命が記された一冊の本!?何より本と物語が好きな少年・呉承恩と、金篋から転がり出た、本を食べる少女・玉策の物語。涙がこぼれるあたたかいファンタジー!
著者等紹介
渡辺仙州[ワタナベセンシュウ]
1975年、東京に生まれる。小中学生時代を北京ですごす。同志社大学大学院工学研究科を経て、京都大学大学院工学研究科満期退学。日本地下水学会会員。現在中国河南省在住。河南農業大学と中州大学で日本語教師を勤めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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天の川
28
読友さんの感想を読んで図書館予約をしたにも関わらず、なぜか題名からハリーポッターのような洋物(?)にイメージ変換していた私。中国の明代の話でした。書物が大好きな少年、呉承恩が出会った童女は、金の箱の封印がとけて現れた全ての人の命運を知る怪異。書を食べる玉策に振り回されつつ、彼女を手に入れようとする人々から彼女を守ろうとする承恩。エラそうな物言いだけれど、好奇心旺盛、優しい心の持ち主の玉策が何とも可愛くて、後半、どんどん面白くなっていきました。三国志や水滸伝の知識があれば、もっと楽しめたのに…と思いました。2014/11/14
しゅてふぁん
23
昔の中国を舞台にしたファンタジーで『西遊記』の作者といわれた人物の少年時代の物語。話がサクサク進むので、あっさりとした印象だったのに、最後の方は内容が重くなってきてちょっとびっくりした。『三国志』や『水滸伝』が作中に出てきたので、中国の歴史や物語に詳しいともっと楽しめたかもしれない。西遊記を読んでみようかな。2016/03/03
杏子
20
人の天命が記してあるという書、玉策と、書を愛し、詩文をよくする少年、呉承恩との出会い…会うべくして会った二人(?)だった。呉承恩の名は『西遊記』の著者と知っていたが、こんな物語になって登場するとは!?児童書としてもとても面白く、さらに中国文学への案内としても格好の書だった。玉策は人ではない存在なのに、皆が幸せになる道を望んで自らの進退を選んだ。そこのところが本書の最大の魅力だった。呉承恩と玉策以外にも、白華や常坤など魅力的な人物が脇をかため、飽きさせない。『三国志』等、読んでいればさらに楽しめるだろう。2015/01/03
さく
16
中国が舞台のファンタジー。書物が大好きな少年・呉承恩が出会った少女は、人の生死がすべて書かれている禄命簿・玉策の化身だった。面白い!随所に水滸伝とか三国志とかの内容が出てくるから読みたくなる。1番読んでみたいのは呉承恩が書いた西遊記かな!2015/12/23
ねこ
7
闘いあり、友情あり、恋ありの、エンターテイメント作品。玉策という、食物ではなく文字を食べる異能の子ども?が魅力的。小生意気で、なにをしでかすかわからないところがいい。登場のさせかたも巧い!そのままのノリで突っ走ってほしかった。後半、腰砕け気味。でも、最後までぐいぐいと読ませるのは、中国文化・思想への膨大な知識があればこそ。ハイファンタジーの世界に現実感がある。2015/06/07