出版社内容情報
いい子じゃないと、いけませんか。
施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。
なぜならやっと得た居場所を失いたくないから――
『きみはいい子』(第28回坪田譲治文学賞、第1回静岡書店大賞、2013年本屋大賞4位)で
光をあてた家族の問題に加え、医療現場の問題にも鋭く切り込む書き下ろし長編。
中脇初枝が再び放つ感動作!
内容説明
施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。なぜならやっと得た居場所を失いたくないから―。『きみはいい子』で光をあてた家族の問題に加え、今作では医療現場の問題にも鋭く切り込んでいく。新境地となる書き下ろし長編。
著者等紹介
中脇初枝[ナカワキハツエ]
1974年、徳島県生まれ、高知県育ち。筑波大学卒業。『きみはいい子』は、第28回坪田譲治文学賞を受賞、第1回静岡書店大賞第1位、2013年本屋大賞第4位となった。神奈川県在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
329
親がいないから不幸とは限らないし、親がいても不幸なことだってある。幸せって、何?そもそも正しさとか当たり前とか普通って、何?と思う。どんな悪い事をしても自分を好きでいてくれるのか、捨て子だった弥生は里親を試す。いい子のふり、悪い子のふり、どれが本当の自分なのか分からなくなってしまうくらい、自分を演じて生きてきた。それでも、弥生のことを祈ってくれた誰かがいた。三月に誰かに拾われ、誰かの手によって大きくなった。看護師としての決意が「演じる」ことの意味を変えていく。人から学び、前向きに歩き出すラストがいい。2014/03/09
ウッディ
219
弥生という名前、3月に生まれたのではない、3月に捨てられたのだ‥。施設で育ち、准看護師として働く弥生は、良い子でなければ居場所を失うから、決して医師に逆らわない。そんな時、プロの看護師藤堂師長と出会い、たまたま知り合った菊地が入院してくる。自分を見つめる彼らの温かい眼差しに、弥生の意識が変わってゆき、自分は3月に拾ってもらったのだと気付く。弥生の辛い現実を描いた言葉が心に刺さり、読み進めるのが苦しかったけど、徐々に希望が溢れるような読後感でした。良い本です。 2017/11/01
*すずらん*
207
沢山のいい子を演じてみた。どの子を、お母さんはいい子と言ってくれるだろう。この子もダメ、あの子もダメ…そんな風に沢山の役を演じている内に、私は自分が誰だかわからなくなってしまった。これが私なのか?演じているのか、いないのか?ずっとお母さんに言って欲しかった言葉「きみはいい子」が、いつしかお母さんへの願い「わたしをみつけて」に変わってしまっていた。私はお母さんに、本当の私を見付けてほしい。それがいい子じゃなくても、お母さんは見付けてくれるのかな?いい子じゃなくても、お母さんが大好きな私じゃダメなのかな?2013/07/23
扉のこちら側
201
初読。2014年73冊め。自分の拠り所を見つける話。師長や菊池さんの人柄がとてもよい。プロとして働くことを考えさせられる。2014/02/07
さと
195
人生を折り返して、やっと私は"わたし"をみつけた。自分で見つけた。「あなたは、自分で自分を育てたのね」「あなたは上手に自分を育てたわね」滂沱の涙とともに心の澱がスーッと流れていった気がした。してもらえなかった事、与えられなかった事ばかりに執着して生きてきた私も弥生と同じだった。最近周りの人から「あなたは一本しっかりとした軸があってどんなことがあってもぶれない人よね、憧れる」と言われ腰が抜けるほど驚いた。花マルを貰う事だけを使命として「いい子」否「とってもいい子」を演じてきたのに…。2016/11/24