慟哭の家

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  • サイズ B6判/ページ数 408p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784591132357
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

障害を持つ家族を襲った悲劇。妻と息子を殺した夫は、法廷で言い放った。「私には生きる価値はない。死刑にしてください。」

「愛しているから、殺しました」
妻と息子を殺した夫は、法廷で言い放った。「私には生きる価値はない。死刑にしてください。」

難病の子供を抱える普通の家族に起こった悲劇! 無条件で愛情を注ぐ母親と子供への愛情に限界を抱いている父親との間の溝は深まるばかり。形は家族の体をしていても、中身はボロボロ。すでに崩壊状態。そして、無理心中を提案する母親、それを受け入れる父親。父親はもう限界を理由に、無理心中を実行する。しかし、自分は死に切れず逮捕される。が、承諾殺人で10年の刑。納得のいかない父親は弁護士に死刑にしてほしいと控訴を要求。
父親に生きる資格はあるのか? 地域社会、福祉の問題点を追及した書き下ろし社会派小説! 実際に起こった事件をもとに江上剛が渾身の筆致で小説化!

誰もが死ぬとわかっている人生で、人はなぜもがき苦しみながら生きるのか。

1章  事件
2章  弁護士
3章  被告人
4章  希望なき子
5章  ノーマライゼーション
6章  殺すことは愛情か
7章  生まれるべきではない子がいるのか
8章  裁判
9章  論告求刑
10章 審判

内容説明

愛しているから、殺しました。障害を持つ家族を襲った悲劇。

著者等紹介

江上剛[エガミゴウ]
1954年1月7日生まれ。兵庫県出身。77年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。97年第一勧銀総会屋事件に遭遇し、広報部次長として混乱収拾に尽力。2003年3月に退行する。2002年に『非情銀行』(新潮社)で小説家デビューをし、銀行を退行後は作家として本格的に活動。多くの企業・経済人を取材して、取材内容をまとめたノンフィクションも評価が高く、これまでの経験を基に書かれたビジネス書も多数ある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちえ

51
ダウン症の息子を持ち一家心中を図るが生き残ってしまった父親。読みながら、障害を持つ子どもを育てるということを何回も考えさせられる。〈ダウン症の子供は優しいと言いますが、あれは親が根気よく根気よく躾けたからです。テレビドラマなどではその苦労を映しませんから優しくて聞き分けのいい子ということになっていますが、親の努力は並大抵ではありません〉〈自分が年老いていなくなった後、この子はどうなるんだろうと絶望に取りつかれることがたびたびあります。いっそ、この子を殺して自分も死んだ方がどれだけ救われるかと (続く↓2019/10/03

クリママ

40
28歳のダウン症の息子と一緒に殺してくれと妻に頼まれ、その通りにしたものの自分は死にきれなかった父親。重い内容。うなずけることも多かったが、論点のはっきりしない弁護士、きまりきった裁判、そして、取材した事柄をただ登場人物に語らせているようで、表面的な物語になってしまい残念だった。親として、自分が逝ってしまった後の子どものことが何よりも心配だと思う。母子一体化にならないように子供を自立させようとしても、今の社会に我が子を託せるのだろうか。2016/03/24

シャボン玉

34
子どもの寝顔や、機嫌のいいところだけを見て「かわいい」という夫に、子育ての大変さ、壮絶さをわからせたかったんだろうね。大変であればあるほど人に話を聞いてもらったり、助けてもらうべき問題。どうかもうこんな事件がまた起こらないために。「おしかわのおとうさん」自身もかわいそうな生い立ちで?負の連鎖… そして由香里の最後の言葉に涙。2019/01/27

Yunemo

32
作者としては今までと違った題材。「それにしても重すぎます」。読後に感じた最初のつぶやき。障害者、あるいは介護老人を持って構成されている世帯は、どこか低いところで安定しなければならない、どこかで何かを諦めて折り合いをつけなくてはならない。うーんと唸って頷く。人は生きるためには居場所が必要なのだ。また頷いてしまう。最後まで不明な動機に対して、人間が生きていくことが、こんなに不可解で、難しいものとは、との思い。人が人を裁くことの限界、真正面からこの問題に向き合ってしまった。読了後、胸の奥に居座る何かがある。2013/02/16

柊子

30
重い障害の子を持つ友人が2人いる。我が子の障害を知って2~3年、子供と一緒に引きこもったそうだ。が、ある日「この子を育てるには『ここに障害児がいます』と世間に知ってもらう事が一番大切」と気付いたと言う。以来、子供と一緒に外に出て、色々経験をさせた。2人の友人が全く同じ様に考え、行動した事に驚く。正直、正視するのは辛い様なお子さんである。外に出すのは勇気が要る事だったろう。この小説の夫婦も、少しの勇気を持って、我が子を世間に出していたら、あるいは誰かに相談していたら、こんな不幸にはならなかったかもしれない。2013/08/23

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