内容説明
ある日突然、末期ガンと宣告された父。その現実と、自分の気持ちに折り合いをつけられず悩む娘。実父の死に正面から取り組んだ話題のドキュメンタリー映画『エンディングノート』から生まれた、もうひとつの物語。
著者等紹介
砂田麻美[スナダマミ]
1978年生まれ。慶応大学在学中よりドキュメンタリーを学び、卒業後はフリーの監督助手として、是枝裕和らのもとで映画を制作。『音のない花火』が初の著書となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クリママ
54
突然末期がんが分かった父親。29歳、独身の娘の目線で書かれている。知人と話しているうちに共通の知り合いに気づくことをフェイスブックのようだというのは逆だよと思う私とは世代が違うが、娘ととしての心情は同じ。驚き、心の中では震えが止まらない、残り少ない時間を一緒にいたいと休職するものの、寄り添うとはどういうことなのかわからない。休職を願い出たときの上司の言葉「人間みんな死ぬんだよ、それに順番があんの。子供が病気だっていうなら…」その言葉を素直に受け入れられなくても、やはりそうだからか、そして、その時まで⇒2021/12/26
taiko
39
末期ガンを宣告された父と過ごし、看取った29歳の娘しぐさの話。父親への思いを素直に伝えられないしぐさの気持ちが痛いほど伝わり、切なかった。大好きだったわけではなくとも、大切だった父。その思いは、自分にも心当たりがあり、とてもリアルです。亡くなった直後、亡骸の周りで片付けをしている家族へ、父が言っているかもしれない言葉に、涙腺が崩壊しました。エンディングノートは観ていませんが、観れないかも。著者のもう一冊の短編は読もうと思います。2016/10/13
スノーマン
31
一つ一つの言葉、その空気が、とても生々しいと思ったら、実話に近いものだったのかな。死=希望も失くす、それは本人のみならず、身内も体と心に残ってる希望がバリっと剥がれてしまう。剥がれたまま日常に戻るとは、しんどいことだけど、きっとまた希望を少しずつ貯めていくことも出来る。静かな物語のなかにクスッとする部分もあり、作者の人間観察の鋭さを感じた。私も小堀さんの温かいミルクティーが飲みたいわ…と美しい余韻を残して読み終わろうとしたら、最後の戸籍謄本の死亡の表記で引っかかった。2016/04/22
黒まる
20
家族はひとつのチームなのだ。という言葉がよかったです。誰かがひとりでも欠けるときの喪失感。女性ならではの素晴らしい感受性で書かれてて、すごくよかったです。2014/01/14
a*u*a*i*n34
17
以前に読んだ砂田さんの作品が良かったので2作目として。彼女が映画監督であることも本作品がそのアナザーストーリーであることも知らずに読みました。身近な家族を失くすのは大変なことなのは良くわかりますが、だから?となってしまいました。映画とセットで読むものなのかな。2020/02/26