内容説明
京都の大学院から、遠く離れた実験所に飛ばされた男が一人。無聊を慰めるべく、文通修業と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。文中で友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れるが、本当に想いを届けたい相手への手紙は、いつまでも書けずにいるのだった。
著者等紹介
森見登美彦[モリミトミヒコ]
1979年奈良県生まれ。『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞。『夜は短し歩けよ乙女』で第20回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
909
ひたすらに辺地から一人で書簡をしたためるスタイルから直ちに連想されるのは、太宰治の『新釈諸国噺』に収録された「吉野山」である。文体等もまた随所に太宰を想起させる箇所がいくつも指摘できる。例えば「…耽っているに違いない。そうに決まった」や「ただ一切が過ぎてゆきます」といったフレーズに顕著である。あるいは全体として見れば、一人相撲の道化の哀しさといったものが。その意味では、本書は太宰へのオマージュであると言ってもいいかもしれない。なお、篇中で森見節が真骨頂を発揮するのは、なんといっても「失敗書簡集」だろう。2019/04/18
しゅら
430
手紙だけの構成、作者自身を主人公に批判させる手法が目を引くが「夜は短し〜」と似てるし構成にも飽きて読むの進まず。恋文を書けと命令された辺りから展開して一気。過去作品の反省から恋文の技術を確立したが最後の恋文は長く、憎くないとは伝わるが好きだとは気付けない。まどろっこしい。手紙が続いて文通、って現代では奇跡。手紙いいな。仲間意識も良い。言い回しはやっぱ笑える。「ちなみに、男はふだんどんなことを考えているかというと、ろくなことを考えていない。道行く男の四割は阿呆、さらに四割は役立たず、残る二割は変態である。」2021/05/13
佐々陽太朗(K.Tsubota)
414
主人公、守田・おっぱいに目のない男・一郎は文通武者修行と称して知人に宛て手紙を書きまくる。能登の実験所に飛ばされた人恋しさ故の所行である。本書には守田一郎が書き散らした百通を超える手紙が延々と記されている。『恋文の技術』というタイトルから「炎々と燃えさかる恋心」が綴られているのかと言えばそうでもない。むしろ「悶々とくすぶる屈託」がそれこそえんえんと並ぶ。手紙以外何もないのだから開いた口がふさがらない。と、同時にこの百通を超える手紙をひたすら読んでしまった己の馬鹿さ加減に唖然としてしまう。2011/05/15
hiro
351
森見登美彦氏の七男、森見ワールドではおなじみの冴えない学生(大学院生)が、今回は京都から能登の実験所へ飛ばされ、森見登美彦氏を含む京都の友達・妹・先輩・教え子等へ手紙を書きまくるという書簡体小説。書簡体小説を読むのは初めてだったが、読者には主人公の手紙から相手からの返信を想像する必要があり、森見ワールド独特の主人公の妄想にいつも以上にのめりこまされていく感じがしてが面白かった。もちろん、森見ワールド定番のおっぱい、猫ラーメン、パンツ番長もでてきて、森見ファンには必見の一冊だと思う。2011/05/20
mae.dat
314
ヤター✧٩(ˊωˋ*)و。初めてもりみー作品でちゃんと嵌まれた気がする。書簡形式。元々は京都在住だけど、石川県は何処だろう。眼前に広がる七尾湾。背後には鬱蒼とした森。空は覆い被さる様な曇天の地に左遷(?)された大学院生(博士課程かな)の守田君のお手紙で構成されているのですが、通信相手の図像は見えなくて、行間の広さに焦りました。通信相手によって、表現や言葉使いが変わるのも楽しい。特に大塚さんとのとのやり取りが好きです。この本のルールを把握する切っ掛けにもなったし。勿論切迫感もともなって。おっと紙幅が。2026/01/24




