百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 137p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121856
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

大雪の積もった朝、写生旅行に出た洋画家・島木は、ただならぬ画境の深まりを見せる旧友のことが頭から離れない。遺作に刻まれた芸術家の魂(宇野浩二『枯木のある風景』)。月影の夜、病んだ友人は横笛を鳴らす。横浜外国人居留地で「私」が看取ったインド人との思い出(松永延造『ラ氏の笛』)。五年前、交通事故で世を去った三男の、あどけない顔が今も目に浮かぶ―。十九年の生涯に手向けられた父の心(洲之内徹『赤まんま忌』)。敬愛と慈しみにみちた、それぞれの惜別。

著者等紹介

宇野浩二[ウノコウジ]
1891‐1961。福岡市に生まれ、大阪で育つ。本名・格次郎。近松秋江をモチーフにした小説『蔵の中』で文壇に登場。軽妙な話術を活かした文体で人生の妙を描いた。病のために一時執筆を断念したが1933年の『枯木のある風景』で復活

松永延造[マツナガエンゾウ]
1895‐1938。横浜市生まれ。幼少から脊椎カリエスを患い、哲学・心理学に関心を寄せる。1924年『職工と微笑』が「中央公論」に掲載。社会からの圧迫、孤独を描いた作品が高い評価を得た

洲之内徹[スノウチトオル]
1913‐1987。愛媛県松山生まれ。東京美術学校建築科在学中からプロレタリア運動に関わる。戦後、1950年に発表した『棗の木の下』などが芥川賞候補になる。60年からは田村泰次郎の経営していた画廊を引き継ぐ一方、『絵のなかの散歩』『気まぐれ美術館』などの私小説的美術評論を著した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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