百年文庫

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B40判/ページ数 169p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121665
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

不良少年の烙印を押され、家を追われた青年にとって、「おんつぁん」はまるで父親のような、唯一心を開ける存在だった。亡き母の形見を胸に、己の未来を模索する若者の肖像(有島武郎『骨』)。村一番の競馬大会で、勝負に負けた源吉はその怒りの矛先を妻に向けてしまう。弱き魂の苦悩と悲劇を描いた島崎藤村『藁草履』。ただ、己が何者か知りたい。家を出た青年にその答えは見つからなかった。聖書を題材にしたジッドの『放蕩息子の帰宅』。自由への憧れと罪悪感。懊悩する魂の彷徨を描いた三篇。

著者等紹介

有島武郎[アリシマタケオ]
1878‐1923。東京・小石川生まれ。札幌農学校在学中にキリスト教に入信。アメリカに留学した後、「白樺」で最年長の同人となり、『或る女』を発表。心中を図りこの世を去る

島崎藤村[シマザキトウソン]
1872‐1943。筑摩県馬龍村に生まれる。1893年、「文学界」の同人となる。教職の傍ら詩を発表し、1897年、詩集「若菜集」を刊行。初の長篇小説『破戒』が夏目漱石に絶賛される

ジッド[ジッド][Gide,Andr´e]
1869‐1951。フランスの作家。厳格なプロテスタントの家庭に生まれ、生涯、宗教的道徳を創作の主軸とした。1947年、ノーベル文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モモ

42
有島武郎『骨』好みではない男たちのグダグダしたような日常。命を絶たれた年に発表された作品。行き詰まりを打開するため模索されていたせいか、読むのが苦痛。島崎藤村『藁草履』自分の馬が競馬で負け、その鬱憤で妻に怪我をさせ逃げる醜男子の源吉。最初の長野の描写などは好みだったが、話の展開が酷い。妻のお隅が気の毒すぎて頭にきた。ジッド『放蕩息子の帰宅』家出した息子が家に帰り、喜ぶ両親と不機嫌な兄。まだ見ぬ世界を見ようと家を出る決意をする末の弟。ちょっと微妙な読後感。今回、珍しく百年文庫の中では再読したくない本でした。2022/11/26

アルピニア

36
「骨/有島 武郎」無茶苦茶に思える勃凸とおんつぁん。しかし、最後の「俺この方が似合うべ」と言う勃凸とそれを見て涙を流すおんつぁんの姿には、悔いと深い哀しみを感じた。「藁草履/島崎 藤村」源吉は、競馬に負けた悔しさと過去への嫉妬から妻を打擲してしまう。妻を医者のところへ連れていく途中で・・。妻が贖ったような展開だが、何となく腑に落ちなかった。「放蕩息子の帰宅/ジッド」放蕩息子の話は解釈が難しいところだと思う。ジッドは自分なりの解釈を書いたのだと思うのだが、宗教的というより哲学的な解釈になっていると感じた。2022/11/18

臨床心理士 いるかくん

35
3人の作家からの3篇の作品から成るアンソロジー。アンドレ・ジッドの「放蕩息子の帰宅」が好み。2014/12/13

18
『骨』有島武郎、『藁草履』島崎藤村、『放蕩息子の帰宅』ジッドの贖罪の話3編。でも別に主人公の男どもは3人とも無事だし、自分ではなく、妻や母や家族といったまわりの人間を死なせ、不幸にして犠牲にし、それを糧に贖うという形をとって、のうのうと生き続けてくやつばっかりだ…。あるいはまわりの人間まきこんで自死したり、自己欺瞞な贖罪のためにまわりの人間の恥部を晒して小説にし、その結果小説が今に至るまで残ったり。思いを残すすべのなかった藤村の姪や自死した小説家たちの妻のことを思うとなんともやりきれない気持ちになる。2022/05/07

マッキー

16
面白いとも面白くないともいえない作品ばかり。複雑な気分で読み進めていた。どう感想を書いていいものかわからない。2017/07/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/3303496
  • ご注意事項

最近チェックした商品