百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 185p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121627
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

「先生さん」の赤パンツは大漁を呼び寄せる。―そんな噂が広まって、とうとう村一番の頑固親父の船に乗ることになった中学教師。海と、海に生きる者たちの生命力が躍動する、近藤啓太郎の快作『赤いパンツ』。大勢の客でごった返す蒸気船。避暑地へ向かう「私」が隣り合わせた、怪しい老婆との長い夜(徳田秋声『夜航船』)。正月を迎える前に一儲け、船長のもくろみは厳しい自然に打ち砕かれた。漂流生活57日、実在の海難事件に取材した野上弥生子『海神丸』。波にもまれ、生の根源があらわにされる傑作三篇。

著者等紹介

近藤啓太郎[コンドウケイタロウ]
1920‐2002。三重県生まれ。東京美術学校を卒業後、千葉県鴨川で図工科教師の傍ら小説を書き、1956年『海人舟』で芥川賞を受賞。『奥村土牛』(読売文学賞)などの評論もある

徳田秋声[トクダシュウセイ]
1871‐1943。金沢生まれ。本名・末雄。尾崎紅葉に師事し、『雲のゆくへ』が文壇的出世作に。自然主義文学の書き手として、新聞小説を中心に活躍した

野上弥生子[ノガミヤエコ]
1885‐1985。大分県臼杵市生まれ。本名・ヤヱ。15歳で上京し、明治女学校を卒業すると同郷の豊一郎と結婚。夏目漱石の影響下で小説を書き始めた。『秀吉と利休』(女流文学賞)などの著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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モモ

46
近藤啓太郎『赤いパンツ』不漁のとき、先生に赤いパンツで乗船してもらうと豊漁になる。ついには頑固親父まで頼るようになるも、赤いパンツを大々的に掲げたとたん…。徳田秋声『夜航船』船で一緒になった図々しい一家。手癖も男癖も悪い。でも何だか憎めない人々。野上弥生子『海神丸』実話をもとにした衝撃的な話。すぐに帰られるはずだった船。悪天候で何十日も漂うことになってしまい、食べ物が尽きた時に起こる悲劇。極限状態の人間の様子に言葉を失う。生存者がよく語ってくれたものだ。最後の話に全て持っていかれた感じ。忘れられない一冊。2023/03/01

臨床心理士 いるかくん

39
3人の作家の3篇の作品から成るアンソロジー。漁師、船の客、遭難。バラエティに富んだ3つの作品。2014/12/07

あじ

36
真っ赤なパンツを穿く“先生”を船に乗せたら、魚にモテちゃった!噂がウワサを呼び先生は引っ張りだこ。晒された大漁旗が笑いを誘う、近藤啓太郎『赤いパンツ』に一票。◆【船】つながり、次の一冊はこれ!「無人島に生きる十六人」須川邦彦/著2019/08/22

神太郎

35
漁師言葉が行き交う感じで訛りのきついものもあったが全体的には良策揃いである。『赤いパンツ』は非常にユーモラスで読んでいて笑みがこぼれる。最後の一文で綴られるオチも良い!『夜航船』は序盤からいわくありげな老婆と娘が出てきてじんわりとした怪しさが次第に効いてくる。最後の『海神丸』は百年文庫にしては長編であり、方言がきついながらもそれによる緊迫感、臨場感は短編ながら一級品だ。極限のなかだからこそ暴露されてしまう人間性と押し寄せてくる後悔と。最後まで緊張感が抜けぬそれでいて考えさせられる一編!2020/07/05

マッキー

23
近藤啓太郎「赤いパンツ」、めっちゃくちゃいい話だな。面白い。エネルギーと笑いと快活さにあふれている。最後、大漁を示すときに旗の代わりに赤いパンツを船に掲げるんだが、青い空に赤いパンツの見事なコントラストもまた計算されていてエネルギッシュ。2017/06/23

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