百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 152p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121610
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

目が見えぬ妹の世話で自分を構ってくれぬ母に、健はご機嫌ななめ。親子の情愛にほのぼのと心温まる、壺井栄『大根の葉』。「一大事!家内が産の気が附いたようだという」―産婆の言うがまま、唸る産婦にたじろぎながらただ待つしかない男親。小さき者への愛情が見事に描かれた、二葉亭四迷『出産』。越してきた僻村で子供が病気に。背負ったわが子に懸命の声をかけ、「私」は峠の向こうの診療所へひた走る(葉山嘉樹『子を護る』)。子を思う親の心、親を思う子の心、いつの世も変わらぬ無償の愛。

著者等紹介

壷井栄[ツボイサカエ]
1899‐1967。香川県小豆島生まれ。プロレタリア詩人の壷井繁治と結婚後、自らも小説を執筆するようになる。『大根の葉』で認められた後、幅広く活躍した

二葉亭四迷[フタバテイシメイ]
1864‐1909。江戸・市ヶ谷生まれ。本名・長谷川辰之助。外交官を志してロシア語を学んだ後、日本近代小説の幕開けとなる『浮雲』を執筆。ロシア文学翻訳者としても大きな功績を残した

葉山嘉樹[ハヤマヨシキ]
1894‐1945。福岡県生まれのプロレタリア作家。獄中で執筆した『淫売婦』で注目を浴びる。その後中津川に移住して作家活動を続け、第二次大戦末期には満州開拓団に参加した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

109
子を思う親の気持ちを描いた3つの短編。二葉亭四迷の「出産」は、自分の妻の出産におろおろする話で、赤ん坊に対する男親の不器用な愛情が伝わってくる。葉山嘉樹の「子を護る」は肺炎になった次女を必死になって助けようとする父親の話。経済的に苦しい人々のために献身的に働く医師が心に残る。壺井栄の「大根の葉」が一番のお気に入り。目の悪い妹の世話に一生懸命になる母親を小さな男の子の視点から描く。お母さんに構ってもらえない子供の気持ちが痛いほど伝わってくる。貧しいながら、助け合って暮らす農村の人々の描写に温かみがある。2014/12/30

はる

59
壺井栄の「大根の葉」が読みたくて。盲目の幼い妹の世話のため自分を構ってくれない母。揺れる少年の心情を温かい筆致で綴ります。子を想う親の気持ち、親を想う子の気持ち…。素朴で抒情詩的な物語。生き生きとした子供たちの姿が目に浮かぶよう。二葉亭四迷の「出産」は妻の出産にオロオロする夫の物語。ブツブツ不平を洩らしながら何も出来ない夫が可笑しい。軽妙な文章で面白かったです。2019/05/10

モモ

54
壺井栄『大根の葉』母が妹の目の治療のため神戸に行くので、父の実家に預けられた健。イヤイヤ行くも、けなげに待つ姿がいじらしい。やっと母が帰ってきたときに見せた健の態度がいとおしい話。二葉亭四迷『出産』妻の初めてのお産で、あたふたする様子がいい。葉山嘉樹『子を護る』東京から木曾の村に引っ越してきた一家。肺炎になった次女を背負い、必死に診療所まで走りに走る父。再び具合が悪くなった娘のために、お医者さんが凍る道を1時間歩いてきてくれるのに恐縮しすぎて、お酒を飲んでしまう父。私が妻なら怒るかも。子を思う親心の一冊。2021/01/05

あじ

52
小さな子供に手を握られると、なんともいえない幸福感に包まれる。そんな眩しい朝に『子』を迎えた。壺井栄「大根の葉」。目が見えぬ妹に掛かりっきりになっている母。駄々をこねながらも、お兄ちゃんになっていくお話。二葉亭四迷「出産」。若い父親が妻の初産に右往左往してるのかと思いきや…、アッパレな仕事を桁外れにこなしていたという笑い話。葉山嘉樹「子を護る」では己の不甲斐なさをあげつらい、我が子のように心尽くしてくれる医者や隣人に思い馳せる。他人に無関心な現代に、この軟膏を塗布したい。2016/10/28

臨床心理士 いるかくん

37
3人の作家の3篇から成るアンソロジー。子の思い、親の愛情。2014/12/05

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