百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 143p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121290
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

「結婚しない」という条件で異国の地に赴き、店番をしながら老いていったアントンさんの熱い涙(アンデルセン『ひとり者のナイトキャップ』)。息子の誕生から早すぎる死までを素朴な会話文に写しとり、父親の深い愛情が胸に迫るビョルンソンの『父親』。数々の武勇伝を誇る乱暴な夫が、エルサレムからフィレンツェへ聖火をもちかえる旅で人間的な優しさに目覚めていく物語(ラーゲルレーヴ『ともしび』)。清らかな心を描き出した三篇。

著者等紹介

アンデルセン[アンデルセン][Andersen,Hans Christian]
1805‐1875。デンマークの靴職人の家に生まれる。自費出版で本を出し作家の道へと踏み出した。「旅は人生の学校」と語り、海外の作家たちと友情を結びながら、小説『即興詩人』や『人魚姫』など約150作の童話を残した

ビョルンソン[ビョルンソン][Bjornson,Bjornstjerne]
1832‐1910。19世紀のノルウェーを代表する詩人で、故国ではイプセンと共に人気がある国民作家。若き日より新文学のリーダーとして活躍し、山間地の美しい恋愛を描いた小説『アルネ』など、純朴でヒューマンな作風で知られる。詩はノルウェー国歌にもなっている

ラーゲルレーヴ[ラーゲルレーヴ][Lagerl¨of,Selma]
1858‐1940。『ニルスのふしぎな旅』で世界中に愛読者をもつ、スウェーデンの作家。教師時代に雑誌の懸賞に応募した『イェスタ・ベルリングの伝説』が大きな反響を呼び、各国で翻訳、出版された。女性初のノーベル文学賞受賞者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

127
北欧の作家による3つの物語。暗闇の中で明るく光る星を見つけたような気持になる物語ばかりだった。アンデルセンの話は苦労人のアントンさんの幼い頃の思い出が心に沁みる。物語ることによって一人の男の人生に詩的な輝きをもたらすところが、いかにもアンデルセンという気がした。ビョルンソンの「父親」はシンプルな物語ながら、子を想う父の愛情が痛切に伝わってくる。一番長いラーゲルレーブの「ともしび」は知恵と奇跡にあふれた物語。乱暴な主人公の男がエルサレムから自分の故郷へ聖火を持ち帰ることで、人間らしさを取り戻していくお話。2015/04/06

モモ

45
アンデルセン『ひとり者のナイトキャップ』コペンハーゲンに、なぜか結婚しない約束でドイツから派遣された「こしょう番頭」のアントン。孤独な彼が過ぎ去った日々の美しい光景を夢にみながら星になる…。ビョルソン『父親』短い文章だが、父の息子への愛情、喪失からくる悲しみと再生がつまっている。短いが良い。ラーゲルレーヴ『ともしび』屈強な荒くれ者だったラニエロ。妻が去り、十字軍で誉れ高き勇士となるも、聖火をフィレンツェまで運ぶことになり人間性が変わっていく。どんな人も良い方向に変わっていく星のようなきらめきに満ちた一冊。2022/10/01

臨床心理士 いるかくん

35
北欧の3人の作家の短編3篇から成るアンソロジー。どの作品も味わいがあるが、スウェーデンの作家ラーゲルレーヴの「ともしび」が圧巻の素晴らしさ。2014/01/25

神太郎

25
ひとり者のナイトキャップ、父親は悲しさの方が勝る話だった。特に父親は息子を愛していたのに先立たれてしまうという話で、父親の愛情の強さを感じつつも悲しい結末には心打たれる。最後のともしびは、長い道程のなかで荒くれものだった男が改心していく物語で、こっちの展開の方がテーマにもあってて好きかな。最初は「星なのか?涙ってテーマの方があってないか?」とか考えていたのだが、風景だけでなく人や場所などを星に例え手の届かない所へいってしまったもの達を思う作品群だったのかと思えば納得。概ね満足のいく内容でした。2019/09/30

19
ラーゲルレーブ「ともしび」アンデルセン「ひとり者のナイトキャップ」ビョルンソン「父親」の星になった命を描いた三篇。父親が山室静さんの訳で懐かしくなった。洗礼、堅信礼、婚約のおひろめと教会にそのたび寄付をしてきた父が愛息を亡くし、恵まれない人たちのために基金をとまた多額の金を寄付する話。「お前の息子はとうとうお前の祝福になったのだな」との牧師さんの言葉が哀しい。2021/06/27

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