内容説明
ぼくは今、何をなすべきか?喧噪の社会下、自由に焦がれる知的青年は、悲しいまでに己を見つめ、日本を、そしてヨーロッパを彷徨った―。ようやく暗闇の中に発見した一条の光、それは何と…!青春の懊悩を鋭く見つめた、自伝文学の傑作。
目次
一九六四年、夏、北海道
新聞配達とヒッチハイク
京都御所のフリスビー
風に吹かれて
一人ぼっちの冬
単純粗暴犯
さらば、日本
フィンランドの夏
白夜とムンクの絵
流浪のハムレット〔ほか〕
著者等紹介
野田知佑[ノダトモスケ]
1938年熊本県出身。早稲田大学文学部英文科卒業。教員、雑誌記者を経てエッセイストに。日本におけるツーリング・カヌーイストの草分けで、ユーコン川、マッケンジー川などを漕破する一方、河川改修、ダム開発をおしすすめる国土交通省の問題を提起し続けている。1982年、『日本の川を旅する』で第9回日本ノンフィクション賞新人賞受賞。1998年、一連の活動に対して毎日スポーツ人賞文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アナクマ
23
「人間が将来何になるか誰にも判らんよ。…そうやってもがいているうちに自分にぴったりの穴の中に落ち着くものだ。グッドラック」2022/03/31
圭
9
著者が大学卒業後、どう生きるべきかを悩み、日本各地を放浪、欧州各国を旅し、帰国後にカヌイストとなるまでの若かりし頃を綴るエッセイ。当時、日本から最も安く欧州に行くのが、ロシアに渡り鉄道を使う方法だったことに驚きました。著者が初めてふれた欧州での経験、同じように人生に悩む外国人青年達との交流。欧州で育った私は、日本で著者が抱いていた苦しみがよくわかる気がするし、著者の欧州各国の印象が興味深かったです。この旅で答えが出せずとも、著者のその後の人生への影響は大きく、著者の旅はここから始まったのだなと思います。2014/04/13
hitsuji023
6
著者の行動力や自分の意志を貫き通す力に自分にない物を見た。若い時の金も拠り所もない時代の海外への旅は紀行文としても面白い。自分の気持ちにとても正直な人だという感想を持った。2015/06/21
ドナルド@灯れ松明の火
6
【後日追記】沢木耕太郎の「深夜特急」を彷彿とさせたが、野田はさらにその前にシベリア特急でヨーロッパに行っていた。若者特有の悩み・思いつめが旅をしても何も変わらないというところがよく書けていた。2007/08/19
アルクシ・ガイ
5
野田知佑というとカヌーとともに生きる自由人のイメージがあるが、ウックツも豊富なのだな。当然だが。ちょっと不思議だったのはヨーロッパ放浪中の写真。あれは自分でカメラを持っていって撮影したのだろうか。けっこう「作った」構図もある。旅のウックツとそんな自分を「残そう」とする思いが、ややそぐわない。そんな疑問を抱いたのは、私たけかな。2017/12/02