内容説明
水木しげるの自伝的エッセイ。「ゲゲゲの鬼太郎」を生み出すまでの、おもしろ人生体験記。
目次
「こいつあ、アホとちゃうか」
へんな美術学校
落ちたのは一人
男らしい仕事?
靴をはかずに新聞配達
ドロボウと流行歌手
夜なら頭がさえると、夜間中学に
支那通信
ぼくは落第兵
エプペとなら
腕の手術をうけた相模原病院
魚の名も知らずに、魚屋開店
右手で筆記して、左手でほじくったら
マントの下は褌
さまざまな間借人
東京の大先生
パチンコ屋
テレビ出現、紙芝居があぶない!!
「三十八だ、嫁さんもらえ」
毎日が戦い
『墓場の鬼太郎』が誕生
『鬼太郎夜話』『河童の三平』をかく
借金やら、倒産やらで
怪奇ものをやらせてください
眠りに弱い男
気ままな村人たち
著者等紹介
水木しげる[ミズキシゲル]
1922年、鳥取県境港市に生まれる。同市の高等小学校を出て大阪にゆき、いろいろな職業につきながら、いろいろな学校を出たり入ったりする。戦争で左手を失う。戦後上京して、魚屋などをしながら、武蔵野美術学校にゆく。2年後に中退して神戸にゆき、紙芝居かきとなる(6年間)。紙芝居がだめになり上京、貸本マンガをかく(8年間)。こんどは貸本マンガがだめになり、雑誌マンガをかく(14年間)。代表作に『ゲゲゲの鬼太郎』『河童の三平』『悪魔くん』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
82
水木しげる氏が子供の頃のこと、絵を書き出した頃のこと、徴兵されて戦地で体験したことや戦後に貸本漫画から漫画の世界に入ったことなど様々なエピソードを語っているでまとめられていた。いることがあったがそれでも面白く読めた。様々な体験を持っていたので本に書けないことがもっとあったのだと思う。2018/01/12
たくぴー
17
めっちゃ面白かった!壮絶な時代背景がユーモラスに描かれて、読みやすかった。努力は必要だが何も焦る必要はない、人と違っても勉強ができなくても心配する必要はないということが語られています。2024/08/17
hirayama46
5
水木しげるはマンガはいくつか読んでいましたが、自伝やエッセイの類ははじめて。学生時代の話から戦時中の話、戦後の紙芝居や貸本を書いていた時代の話までを広く、ライトなタッチで描いています。さらっとものすごいことを書いていることが多く、特に南方に送られて片腕を失うほどのことになったので飄々としているさまは呆然としてしまいます。あるいは、振り返るとそのように書けないものごとなのかもしれませんが……。それにしてもすごい。戦後もワーカホリックのように長期間みっちり仕事をし続けていて、あのゆるいイメージはいったい……。2021/12/16
やすかりし
4
あとがきの「ちょっとしんどかったけど戦争がおもしろかった」というくだりに愕然とする。生きるか死ぬかの壮絶な体験をして、片腕まで失ってなおそう言わしめるのは、この本で一番生き生きと描かれていた現地の人たちとのふれあいあってのことなのだろう。そして、四角四面の常識にとらわれずに、さらりとそう言ってのけるところに凄みがでている。そんな大いなる自然人たる著者が、終戦後に目を回さんばかりに忙しい日常を送るというこの落差に、おかしみと悲しみが混じりあったような複雑な思いを抱かされる。2017/01/09
IKEDA yukinori
3
彼の人生の苦闘にふれていると、私は樹齢千年の巨木の前に降り立ってその樹冠を見上げる鳥のような気にさせられる。血の涙を流すような労苦の幾多も、さらっと短く回顧されていて、逆にそのことに圧倒されてしまう。2016/10/20