内容説明
上谷高校三年で、「変わった子」が集う“ヨーロッパ文化研究会”所属の水島優希は、友人に誘われ、大人っぽい佇まいの喫茶店「二枚の私のハンカチ」を訪れる。そこで出会ったクールな店員・秋山悟の存在が気になり、何回か通ううち、三十二歳の彼の意外な一面を知った優希は…。しっとりとした質感が心地よく、読むと前向きになれる―まるでクラシカルな恋愛映画を観ているかのような、正統派「年の差恋愛」小説。
著者等紹介
楡井亜木子[ニレイアキコ]
1961年兵庫県生まれ。92年『チューリップの誕生日』ですばる文学賞を受賞し、翌年三島由紀夫賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takaC
66
年の差恋愛はまあ良いとしても、片方が高校生なのはダメじゃないかな。2017/06/11
ゆき
43
ゆっくりと流れる時間はとても心地よく、でも、読みながら時々胸がぎゅっと締め付けられました。優希が出会った悟は年上で淋しさを抱えていた男性だった。楡井さんの描く男性はどこか脆く寂しさを持ってる男性が多い気がする。だからかな。楡井さんの作品を読むと切なくて涙が出そうになる。優希は今までのただ好きだけの恋愛とは違う、悟を大きな沼、淋しさから救ってあげたいと思う。そこに恋愛じゃない、愛情を感じました。この物語は、恋愛小説だけどそれと同時に1人の少女が女性へと成長していく物語でもある。2016/10/12
冬見
22
32歳のカフェ店員(作家)と17歳の女子高生の年の差恋愛。年の差恋愛小説と言ったら楡井亜木子さん。ずるくて弱い、すこし臆病な年上の男性を書くのがうまい。主人公は大人びた女の子なことが多いけど、大人びてはいるものの年齢に見合った不安定さを持っていて、けれどやっぱり芯は強くて、とても好感が持てる。恋に落ちるのに理由はないと言うけれど、悟さんがそこまで強い感情を持つに至った過程を見たかった。優希視点だから難しいかもだけど。悟さんの小説の本質は闇ではなく光、とあったけれどそれは楡井さんにも言えるんじゃないかな。2018/04/06
そら
19
14歳の年の差もの。付き合うまでの描写は短くて、二人が両想いの期間が長い。悟と付き合う事で優希が成長していく、そんな物語だった。遠距離とかは人を選ぶというけれど、10以上の年の差で付き合うのももしかしたら双方に条件が要るのかな、と思った。優希が高3なのにいい女すぎて、あたしは優希よりだいぶ年下なのに「こういうふうになりたいなあ」とか思ってしまった。絶対大人になったら魔性の女になるやつ。悟が優希の母に「あなたに誓う」と言ったシーンが一番すき。ハッとなった。2014/06/03
ほしの
10
楡井さんの文章が好きです。優しくて感情移入がしやすいです。17歳と32歳。それぞれ悩みがあって見ている世界も全然違って、それでも最後には手を繋げてよかったです(^^)2010/10/22
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- 和書
- 檸檬の棘 講談社文庫