百年文庫  50

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  • サイズ B6判/ページ数 145p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591119327
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

伯父とローマに滞在するケリン嬢は、朝食のテーブルで知り合ったイギリス人青年に惹かれていく…「永遠の都」で願った恋の行方(ギッシング『くすり指』)。長年節約を重ね、ついにヨーロッパ旅行を実現した教師ミス・アビー。ロンドンで買った土産のネックレスが幸福を呼び込んで…(H・S・ホワイトヘッド『お茶の葉』)。連れ立って旅に出た旧知の夫人ふたりが、古都のテラスで秘められた過去を露にする(ウォートン『ローマ熱』)。旅先の都で繰りげられる恋と人生の物語。

著者等紹介

ギッシング[ギッシング][Gissing,George]
1857‐1903。イギリスの小説家。ロンドンの裏町で長く極貧の文士生活を送った。労働者階級の生活をリアルに描いた小説になかなか光はあたらなかったが、1891年に『三文文士』を出し、ようやく認められた

ホワイトヘッド,H.S.[ホワイトヘッド,H.S.][Whitehead,H.S.]
1882‐1932。アメリカの怪奇小説作家。本来は聖職者で、怪奇小説専門誌の創刊をきっかけに、1924年ごろから怪奇小説を書きはじめる。宣教のため一時西インド諸島に滞在、現地の信仰に題材を得た作品も多い

ウォートン[ウォートン][Wharton,Edith]
1862‐1937。アメリカの女性作家。裕福な家庭に育ち、子供時代には両親とヨーロッパに滞在することも多かった。十代から小説を書きはじめ、1921年には女性初のピューリッツァー賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょろこ

123
キュッの一冊。読んで良かった思いでいっぱい。遠い昔の思い出話を聞かされているような感覚に陥るのも良かった。三篇の都の旅での小さなエピソード。でもこの物語の中の女性たちにとっては忘れ得ぬ時間。せつなく温かく、時に驚きと、どれも確実にさまざまなキュッと感が待ち受けているのが良い。「くすり指」はただせつない。けれどとてつもなく美しくて、キュッと大きな鼓動を感じ取れるほど。「お茶の葉」もまさに都が導く幸せにキュッ。「ローマ熱」は女同士のありがちな心情の交差で読ませる異色さ。ラストはキュッ?いや、トドメのギョッか。2023/04/10

アルピニア

52
「くすり指/ギッシング 小池滋 訳」ケリンは、帰郷の旅の途中にローマで出会った青年に惹かれるが。彼女は自分の感情について冷静な判断をしたのだと思う。「お茶の葉/H・S・ホワイトヘッド 荒俣宏 訳」節約して貯めたお金でヨーロッパ旅行に出かけたアビーは、行きの船で「お茶の葉」の占いをする。旅の最後に、ロンドンで占いの予言にちなんだ店で古びたネックレスを買ったのだが。不思議な楽しい話。「ローマ熱/ウォートン 大津栄一郎 訳」旧知の女性二人がかつての思い出の地ローマを訪ね、そこで明らかになった事実。どちらも怖い。2023/09/29

モモ

46
ギッシング『くすり指』伯父とローマに滞在中、イギリス人青年と出会ったケリン。淡い恋心をいだくも…。冷静な人物の心情描写がみごと。H・S・ホワイトヘッド『お茶の葉』つつましい生活をしながら貯めたお金でヨーロッパ旅行に行く女性。運命に導かれるようにロンドンの裏道の店でネックレスを買ってみたら、なんとそれは…。幸せな気分になる結末。他の作品も読んでみたい。ウォートン『ローマ熱』最後の一文にノックアウト。友人に持つ密かな敵意。その理由が最後に明らかになる。これは、やられました。百年文庫の中でも、お気に入りの一冊。2023/01/04

ジュン

38
百年文庫より 都  短編を5人の編集者で読み込み、漢字一文字のテーマに編集した文庫。今回は都へと旅する人達が主人公の3編。ローマがテーマのくすり指とローマ熱が良かった。くすり指は旅先の食事の席で親しく会話する様になった男女の話しですが、女性からした最後のお願いが切なすぎた。ローマ熱は娘が適齢期になった母親がマウント取り合ってるのか…とちょっとやだなぁと不覚にも頭を掠めてたら最後にあっと驚く事実が😱あの素敵なコロッセオでそんなことが…。痛烈なカウンターパンチで🤛ノックアウト。どんな気持ちで旅してたんだろう。2023/09/23

神太郎

27
『くすり指』…こういうロマンスは好きですね。プラトニックなのも良い。『お茶の葉』…怪奇作家というのでホラーかと思いきやわらしべ長者的な展開で怪奇作家もたまにはこういうの書きたくなるのかなぁと思いつつ。『ローマ熱』…素敵なマダムのお話。どんでん返し?的展開が面白かった。こういう年のとり方したいかも。その都市一つ一つに色がある。そしてその都市に合う物語もある。ただ、昨今は画一化された都市構造がどこか没個性的にも思える時があり、もの悲しさもあるが、これらにはその都市都市の個性がみられて楽しいものがあった。2018/03/19

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