百年文庫

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  • サイズ B6判/ページ数 153p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591118887
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

酒場で出会った酔っ払いが家に転がり込み、そのまま居ついてしまった。「犬っころみたい」な目で見つめられると追い出すこともできず…。寄る辺なき者の願いが胸にせまるドストエフスキーの『正直な泥棒』。かつて結婚を考えた従兄は妹と結ばれた―。ふたりの家庭を訪ねた姉の静かな言葉、胸に畳まれた哀しみ(芥川龍之介『秋』)。高名な脚本家となった男に初恋の相手から手紙が届く。女性の決断が胸を打つプレヴォーの『田舎』。秘めた感情があふれる瞬間の物語。

著者等紹介

ドストエフスキー[ドストエフスキー][Dostoyevsky,Fyodor]
1821‐1881。19世紀ロシア文学を代表する作家。1846年の『貧しき人々』が高く評価されるも空想的社会主義に関係して逮捕され、シベリアに流刑。その後はキリスト教に基づく思想小説の名作を執筆した

芥川龍之介[アクタガワリュウノスケ]
1892‐1927。東京・京橋生まれ。高校時代からの友人・久米正雄とともに夏目漱石の門下に入り、『鼻』が漱石に賞賛される。1927年に自ら命を絶つまでの短い活動期間に『羅生門』『蜘蛛の糸』など数多くの傑作短篇を残した

プレヴォー[プレヴォー][Prevost,Marcel]
1862‐1941。フランスの小説家。たばこ工場の技師をしていたが、作家を志して退職。若い女性の放埒な生活を描いた『半処女』が話題を呼び、以来、女性の心理描写に長けた作家として人気を集める。1908年、アカデミー・フランセーズの会員に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

141
貴女の好きなひと、譲ってさしあげます、なんて傲慢な思考回路、グーで殴ってひれ伏せたい。譲ってなんてくださらなくても、正々堂々実力で奪ってさしあげます。気持ちに嘘をつくことが誰をこうふくにもしないこと、まだご存知ないのね。大手をふって、思う存分自分勝手に生きたらいい。そんな女の方が、きっと美しいと。 自分ののぞんだ人生なら嫌なことがあっても悔いはないだろうに、一生選ばなかった人生を想像しながら生きるなんてそんなの嫌。譲られるのも不快だけど、そしたら意地でもこうふくになってやるんだから。ぷん。2020/09/25

新地学@児童書病発動中

110
もう何冊も読んでいるが、やっぱり百年文庫は良いなあと改めて思った一冊。この巻では人の心の微妙な動きをとらえた傑作が収められている。ドストエフスキーの「正直な泥棒」はコミカルな内容ながら、登場人物の最後の涙が心に残る。芥川龍之介の「秋」は過不足のない完璧な短編。主人公信子の悲しい心情と季節の微妙な移ろいの一致が巧い。一番感心したのはプレヴォ―の「田舎」で、夫から裏切られてしまった女性の切ない心情が心に食い込んでくる。時間の流れの残酷さと生きることのやるせなさを鮮やかに描いて、読者に強い印象を残す名作。2015/04/26

藤月はな(灯れ松明の火)

92
「正直な泥棒」はどう足掻いても元の木阿弥で信頼すらも裏切ってしまう不甲斐なさ。しかし、臨終に混じりっけなしの優しさを掛けられたのは彼にとって限りなく、僥倖だったと思いたい。ところで会話に互いの長い名前を略さずに必ず、付けるのが落語みたいでちょっと、可笑しい。「秋」は昔、思い描いていた生活が違っていたのは確かに切ない。でも妹の気持ちを考えると今更感があるよね。「田舎」は『ノクターナル・アニマルズ』のエドワード視点のよう。しかし、美化しがちな初恋に目を眩まされず、女の身勝手さや自己愛を見抜く男って結構、貴重。2018/08/09

えみ

61
やはり世間に知られる小説家の作品は、一味も二味も違う。素人のわたしが分かるくらい色濃く印象を残していく。拾った男と拾われた男の奇妙な生活の果ての切ない心情が描かれた、ドストエフスキー「正直な泥棒」。姉妹が決して言葉にしてはいけない想い人への秘めた感情が染み入る、芥川龍之介「秋」。初恋の女性から届いた手紙の行間に胸懐を察した脚本家に訪れた予想外の結末に驚く、プレヴォー「田舎」。どの作品も喜怒哀楽に翻弄される人間の『心』を豊かに映し出している素晴らしい物語だった。百年文庫シリーズ第6弾。「田舎」は森鴎外訳。2022/10/09

モモ

47
ドストエフスキー『正直な泥棒』家までついてきて、そのまま住み着いてしまう男。嫌だったはずが、次第に男がいないと寂しくなる。少し読むのが苦痛。芥川龍之介『秋』従兄の俊吉と結婚しそうだった信子は、俊吉に思いを寄せる妹に結婚をゆずる…。そして他の男と結婚したが、その男は少し嫌な男。後悔する様子が痛々しい。プレヴォー『田舎』森鴎外訳。有名な脚本作者ピエエルは、かつて恋した未亡人マドレエヌからの手紙を受け取る。都会のモテ男になったピエエルだが、初恋の相手には一筋縄にはいかず。内に秘めた感情がほとばしる一冊。2022/10/03

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