内容説明
大事な探しものがある人だけがたどり着ける、不思議なコンビニたそがれ堂。今回のお客様は、お隣のお兄ちゃんに告白したくて頑張る少女、街角で長くコーヒーをいれてきた喫茶店のマスター、子どもの頃、変身ヒーローになりたかった青年…夜空の星に切なる願いをかけた時、やさしい奇跡が起こる―。つまずきがちな毎日に涙と笑いを運んでくれる、好評シリーズ第3弾。
著者等紹介
村山早紀[ムラヤマサキ]
1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優愛
274
誰もが抱える不安定な心は時に泣きながら言うんだ。疲れた、そう静かに。それでも思い出だけは今のあなたも過去のあなたも裏切ったりしないから。だからどうか信じてほしい。誰よりも自分は素敵な人生を歩めているってこと。肩の力を抜けば、ほら。自分を認めることで少しずつ人間が好きだってきっと言えるようになるから。誰かの温もりに触れて初めてその人を認められる、本当は優しくて気弱でどこか脆く、それを覆い隠すように強がりな人達で成り立つこんな素敵な世界だもの。藍のかかる空の中、あなたも星に願いをそっと託してみませんか。2015/01/06
へくとぱすかる
269
3つの物語が、それぞれ3通りの感想をもたらしてくれた。最も心が動かされたのは「喫茶店コスモス」。人生の流れをこんなにも音楽的に感動させてくれる物語も、そうはないだろう。全編の舞台である風早の町とともに生きた人間とその時代を、交響楽のように語ってくれる。戦争や平和について、作者のような世代が、この作品のようなボキャブラリーで語っているのは珍しい。貴重な一編。2013/12/31
さてさて
258
シリーズ第三作目に位置付けられるこの作品。いつもながらに描かれる不思議世界の中に、人の優しさとあたたかさを感じる物語。それは、人が自分に誠実に向き合い、心の底から幸せを願うその想いを見る物語なのだと思います。そして、それは“流れ星に願い事をすると願いが叶う”、という強い思いの先に、自らの中に願いを叶えたいと強く願うその心こそが自らの人生を未来へと繋げていくものなのだとも思いました。人が人を想う優しい気持ちが紡ぐその先に、光輝く未来を見る物語。その作品世界にすっかり夢中にさせていただいた、そんな作品でした。2021/06/14
masa@レビューお休み中
227
コンビニたそがれ堂は、誰もがたどり着ける場所ではありません。そこは、大事な探しものがある人だけがたどり着ける場所なのです。今夜どうしてもお弁当箱が必要な愛ちゃん。妻の機嫌を直すためのプレゼントを探している喫茶店のマスター。ヒーローになれないまま大人になってしまった良太。困って、悩んで、苦しんで…。気がついたら、コンビニたそがれ堂にたどり着いた三人は、それぞれの探しものを手に入れます。大事なものを手にするとき、その人の本質が出てくるような気がします。だから、きっと風早の神様も人を選んでいるのでしょうね。2015/10/18
SJW
214
心暖まり、自分も前向きに生きようと思わせてくれる❗今回は3つのお話。大事な探し物をしている人だけがたどり着ける不思議なコンビニたそがれ堂。今回のお客様はお隣のお兄ちゃんに告白したい少女、昔から喫茶店を営んできたマスター、変身ヒーローになりたかった青年たちのファンタジー。どれも昔を懐かしむが、以前の自分にとらわれずに前に進もうとしている主人公たち。彼らの暖かい心、思いやりに、自分の心も溶かされてしまい、ついつい涙ぐんでしまう。村山さんのファンタジー、入り込んだらなかなか出たくない。2019/02/02