内容説明
時は昭和、植物学専攻の兄・雄太郎と、音大生の妹・悦子が引っ越した下宿先の医院で起こる連続殺人事件。現場に出没するかわいい黒猫は、何を見た?ひとクセある住人たちを相手に、推理マニアの凸凹兄妹探偵が、事件の真相に迫ることに―。鮮やかな謎解きとユーモラスな語り口で一大ミステリブームを巻き起こし、ベストセラーになった江戸川乱歩賞受賞作が、装いも新たに登場。
著者等紹介
仁木悦子[ニキエツコ]
1928年東京都生まれ。4歳で胸椎カリエスと診断されて、歩行不能の生活を送る。20代半ばから執筆を始め、57年『猫は知っていた』で第3回江戸川乱歩賞を受賞。81年『赤い猫』で第34回日本推理作家協会賞短編賞を受賞。爽やかな読後感の作風で人気を博し、本格派女流推理作家の先駆けとなる。86年逝去。大井三重子名義で童話も発表し、『水曜日のクルト』(偕成社文庫)などの著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
麦ちゃんの下僕
147
第3回江戸川乱歩賞受賞作で『東西ミステリーベスト100』にもランクイン。植物学専攻の雄太郎と音大生の悦子という仁木兄妹が下宿することになった箱崎医院で、院長の義母&入院患者&黒猫が失踪し、翌日○○○内で義母の死体が発見された!医院内で発生する連続殺人に仁木兄妹が挑む!…1957年の作品ですので、生活スタイルや用語に“時代”を感じますが、文章は平易で読みやすく、兄妹の軽妙なやり取りも良い感じですね。散りばめられた大小様々な“謎”が、終盤パズル上にキチッキチッとはまっていく様には快感すら覚えます。名作です!2022/05/25
眠たい治療家
75
1957年初出の第3回乱歩賞受賞の年代物ミステリ。しかしながら、50年以上も前の作品であるにもかかわらず、今読んでも違和感もあまり感じず面白い。医院で連続して起こる殺人事件を推理していく純王道のミステリで、植物学専攻の兄と音大生の妹、仁木兄妹のキャラクターが魅力的。兄妹の会話で進む推理、そして謎の論理的収束が心地よい。今でも色褪せず、鮮やかな古典の名作。スタイリッシュな表紙は手に取りやすくていい。表紙の妹のイメージに反して、本文中の145cm、60kgというぽっちゃり設定が、最後まで頭から離れなかった。2011/02/22
papako
70
若竹さんが紹介されていて、ずっと気になっていました。すごい!1957年に発行された本、全く色あせてない!もちろん細かいところでは時代を感じさせられます。洗い張りとかね。でも、文章もストーリーも謎解きも古臭くない。しかも面白い!主人公の仁木兄妹、下宿先で殺人事件に遭遇し、謎を解く。殺されても仕方ないほど恨まれた男だけど、殺した理由がそれか!となりました。うん、すごく楽しみました。他の仁木兄妹もの、探そう。そして勝手に僕僕先生の作者だと思いこんでました。全然違うやん!2020/07/17
セウテス
63
仁木兄妹事件簿シリーズ第1弾。〔再読〕最近のレビューを読ませて頂いていると、昔なのに凄いとか、この時代としては良く書けている、などの感想が多く感じられます。それも感想には違いがないのでしょうが、仁木悦子氏の作品が賞賛されるのは、ミステリーが特別な人や場所で、怪奇的、猟奇的な作品が読者に喜ばれている中、普通の人達が普段の生活の中で起こった事柄で、ストーリーを完結したことに在るように思います。この作品が無かったら、学校ミステリーや日常ミステリーが生まれて来なかったかも、と思うと、とても大切に感じてしまいます。2016/12/11
みっぴー
57
第三回乱歩賞受賞作。古風な館が舞台でもなく、登場人物も一般人。飛び抜けた設定は何一つありませんが、裏を返せばミステリ読者に直球勝負を挑んでいるということ。伏線の張り方、無理の無いロジック、犯人の意外性、ミステリ読者を喜ばせるツボを確実に押さえた作品です。個人的に一番評価したいのが、犯人が殺人を犯した動機です。トリックに感動することはあっても動機に感動したのは初めてかもしれません。仁木兄妹シリーズ、他のも読んでみたいです。2016/06/21
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