内容説明
部員5人未満の非公式な文化部ばかりが集まった、おなじみ「マイナークラブハウス」。学年がかわり新入生が入ったというのに、そこでは、あいも変わらずスラップスティックな日常が繰り広げられている。しかし、マイペースな新・演劇部長、畠山ぴりかの存在が、学内の「均衡」を徐々に狂わせはじめ…。続刊待望の学園小説、秘められた恋が新たな恋を呼ぶ新局面に突入。
著者等紹介
木地雅映子[キジカエコ]
1971年生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。93年「氷の海のガレオン」が第36回群像新人文学賞優秀作となり、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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吉野ヶ里
9
なんだっけこれと一巻目から感じていた既視感の正体に気づく。『ファイト・クラブ』と同種の劇薬なんだ。エンタメの皮の下から薫っていた木地雅映子節が前面に出てきましたね。「いい人」の遠野くんも、家庭が茶番劇の紗鳥も、どこにいきたいのかわからない本宮祐介も、孤立者の天野も、ほんとに生意気な子供たちです。その生意気さは、特別な子供たちだけにあるものじゃないのだと、信じていたいけれど、どうなのかしら。ぴりかを通して、自分を救おうとしてた天野が崩壊する場面は胸が苦しくなりました。2020/08/20
アイリーン子
7
前巻でダークサイド方面に舵を切ったかと思いきやちょっと方向転換してきた?若干一巻の雰囲気に寄せてきた気がする。あんなに病んでたぴりかがさくっと(でもないのかな?)立ち直ってて良かったけど腑に落ちなくもあった。各々がそれぞれの気持ち(やそれを取り巻く状況)を自覚してきたという感じでまさにタイトル通り混線状態。盛り上がってきたなぁとちょっとニヤニヤ。がしかしすごい気になるところで以下次巻となってしまってなにこれ蛇の生殺しじゃないか!本編の続巻は出てない(というか出ない)みたいだけどなんとかしてほしい!切望!2015/12/05
ささやか@ケチャップマン
6
なんていうかこの人の小説を読むと悪いことがしたくなる。晴一郎が、ではなく、晴一郎を、だと思っていたのでこの展開は意外だった。4巻が出る気配がないのだけど一刻も早く出してほしいです。彼らにどういう未来を見せるのかを本当に読んでみたい。2014/08/22
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
6
様々な矛盾を抱えながらも日々をそれとなくやり過ごす者たち。その均衡が崩れた時、どう行動する?シリーズ第3弾!タイトルに「混戦状態」とつくだけあって、日頃目をそらしていた事実とイヤでも向き合わなければならなくなって、まさに混戦状態。おまけに恋の嵐も吹き荒れ始めて波乱含み。まだまだ嵐は続きそうです。次巻ではどんな展開になるのでしょうか?★★★★2011/04/02
らくだ
5
ぴりかが恋に落ちるだけで死屍累々。悲惨な有り様に見せかけつつも、少年少女を変化させるきっかけになるのかもしれないと思わせる。解説にもあったし作品内でも示されるが、ぴりかはこの物語の巫女だ。他人の穢れを引き受け、世界を浄化する。そういう本筋もよかったけれど、親に期待される「いい人」の遠野、祖母や両親の言葉に右往左往してしまう紗鳥の話も心に刺さった。思春期はさなぎの時期で、一度さなぎの中でぐちゅぐちゅに融けないとちょうちょになれないという話も刺さりまくった。2015/05/15