内容説明
柿本千佐、女子高の1年生。22歳のニイちゃんは元不良で無職、父さんは小学校教師でクソ真面目人間、母さんはお見合いでバツイチ堅物男と結婚した専業主婦。父さんはあたしに、修道女みたいなタイプを望んでいる。最近、いつも動作がスローな同級生・及川周子が気になってしかたがない―。『一瞬の風になれ』などで話題の著者による、ちょっと痛くて切ない少女たちの物語。
著者等紹介
佐藤多佳子[サトウタカコ]
1962年東京都生まれ。青山学院大学文学部卒業。89年「サマータイム」で月刊MOE童話大賞を受賞してデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で日本児童文学者協会賞と路傍の石文学賞を、『一瞬の風になれ』で吉川英治文学新人賞と本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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絹恵
12
アルペジオを弾くようにひとつひとつ外さずに生きていくことは難しく、見逃したり見失ったりします。探して選んだ音が多くに受け入れられるとは限らない、けれど決断した音は強く澄んでいて、その強さは広がりをもって分散して行きました。彼女と彼の空気が重なった瞬間、かつて外した音を拾ってゆっくりと埋めて行ける、そうはっきりと意識しました。2013/10/20
ばいきんまん
9
前々から読みたいと思っていた本。1993年に書かれた本らしく、表記の仕方や喋り方に馴染みにくいかな?と思ったのは一瞬ですぐに引き込まれた。はじめの方あまり重視されなかった及川周子がキーパーソンになるとは。ニイちゃんに関してはめでたし、だけど及川周子のその後がとても気になる。2017/06/07
リードシクティス
8
女子高生の一人称で物語が進むのだが、この文庫が刊行されたのが2006年とあったので、それにしてはヒロインの話ことばがやけに古臭いなと思ったが、作品自体は1993年に単行本として出たものだったのね。読む前に大体予想はついていたが、アラフォーのおっさんには引っかかるところがあまりにもなさすぎて感想を書くにも困る感じ。2016/07/30
あや
7
よかった。及川さんがスローになるまでのお話しも読みたいと思った。そしてこれからのお話も。2016/01/09
ロココ
5
主人公の千佐がすごく佐藤さんの描く女の子って感じで良い。 でも、時代設定がイマイチよくわからなかった。80年代?と思ったら、ケータイとか出てくるし。本が発行されたのは93年らしいけど、ケータイってもう既にあって女子高生が使うようなもんだったのかな? ニイちゃんとよく似た人が身近にいるので共感。2018/10/02