ポプラ文庫
いのちの代償

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  • サイズ 文庫判/ページ数 343p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784591111581
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

1962年12月、北海道学芸大学函館分校山岳部のパーティ11名は、冬山合宿に入った大雪山で遭難した。部員10名全員死亡。生還したのはリーダーの野呂幸司だけだった。かたくなに沈黙を通す野呂に非難が浴びせられた。45年の沈黙を破り、遭難事故の全貌がいま明らかにされる。

目次

第1章 死の彷徨一九六二年十二月
第2章 小さな山男一九三八年十二月
第3章 “学大函館”山岳部
第4章 冬の大雪合宿
第5章 たった一人の生還
第6章 いのちの代償
第7章 償い
第8章 いのちを生きる

著者等紹介

川嶋康男[カワシマヤスオ]
ノンフィクション作家。北海道生まれ。札幌在住。『大きな手大きな愛』で第56回産経児童出版文化賞JR賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

扉のこちら側

81
2016年207冊め。読み始めてから、つい2週間ばかり前に読了した「凍れるいのち」の改題文庫版だと気づくがそのままこちらも読了。遭難に関するドキュメントというより、野呂氏のその後の成功譚の色が強すぎる。もともとは追悼本としての企画ではないのだろうとも感じてしまう。2016/03/23

モルク

68
昭和37年12月、北海道学芸大函館分校山岳部は大雪山で合宿中強烈なブリザードにあい遭難。部員10名を失い生還したのはリーダー野呂だけという大惨事になった。周到な計画、準備、決して自然を侮っていたわけではない。少しずつ歯車が狂い、一人の滑落から迷い疲労と負へとのめり込んでいく。ただ一人生き残った者は、それに対して称賛を受けることはなく、周りからの非難、亡くなった仲間やその家族に対する十字架を背負う。その後の野呂の前向きな姿と意志の強さに驚く。活動的すぎて、遺族には受け入れがたい面もあったものとは思うが…。2018/12/09

gtn

22
北海道学芸大函館分校山岳部のレベルアップを図るため、部内に別派を作り、十名の仲間を募って、大雪山の冬山に挑むリーダー野呂幸司。だが結果は遭難。野呂以外の十名全員が死亡。思うに、野呂の"独り善がり"の結果では。他の部員を自分並のレベルに引き上げるには早急過ぎた。子を亡くした親への謝罪の際、山岳部を発展させることが供養になると述べたり、告別式で自分の録音音声を流そうとしたり、何かズレている。「黒い十字架を背負って生きていく」と本人は語るが、ヒロイズムが潜んでおり、鼻につく。2024/02/20

ichiro-k

19
遭難死に至った描写は迫力。当時「有名大学山岳部」に実績で大きく差をつけられていた「無名地方大学山岳部」元部長(絶対的立場)の「劣等感・功名心」が引き起こした悲劇。その後のこの人物の半生は真にルサンチマン的。当初は「リスクを知りつつ自らの意思で冬山々行した」メンバー遺族の一部が元部長を恨み続けたことが不可解だったが、こうした自己愛的人間性を感じ取っていたからでは?と自分なりに総括して読了。45年経た告白の真意を知りたい。2011/01/12

アルプスの空♪

17
重い十字架にただただ・・・心が塞ぎます・・・誰にでも悔いを残して死んでいった友や肉親がいると思うのですが、残されて生きる自分の生き様は果たして・・・どうだろうかと・・・考えさせられます。その後の野呂氏の生き方や支えて下さった周りの人たち、ご両親には頭が下がる想いで一杯です。2010/11/23

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