内容説明
親子、兄弟、夫婦という人間関係の基本から、友情、恋愛、人脈など、いまこわれかけている人間の関係をどう回復するか。新しい希望はどこにあるのか。明日に生きる力を見出すために、はじめて著者自身の体験を告白しつつ書き下ろした全13章。
目次
鬱からぬけだすための三冊のノート
いわゆる「人脈」は役に立たない
愛憎をこえた親子の関係とは
格差社会にどう生きるか
夫婦は恋愛より友情
挿入だけがセックスではない
日常に生かす作法のヒント
兄弟は他人のはじまり、とは言うけれど
国を捨てるほどの友はいるか
感謝をもとめない、励まさない
本番は軽々しく表にだすな
憂と愁は人生の贈りもの
心のシナプスが人間の関係をつくる
著者等紹介
五木寛之[イツキヒロユキ]
1932年、福岡県生まれ。66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門・筑豊編』ほかで吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あすなろ
68
五木寛之氏の本はいつもふと読む。氏が書かれている言葉を引用すれば愁をフト感じる時なのか、これも何処かで氏が書かれていたと思うが自らの中に諦念が溜まってきた時なのか。これでいいんだ、という感。寄り添う・共感する観念である。変わる時代に変わらないもの、それは人間関係だ。あまりベタっとしない感で生き方のヒントを書かれるスタンスの氏があとがきでいろいろ書かれているものの、ある一定のスタンスを持って人間関係を記されている。僕は不埒・不定期な氏の読者だが、心の隙間にスッと入ってくる氏の本を読む瞬間が年に一度ぐらいある2018/12/09
Tadashi Tanohata
19
定期的にたどり着く五木寛之。とレビューすれば賢明なBMの皆様なら察しいただけましょう。心の処方箋としては、いつもより強い効用を感じましたが、明日単身赴任生活に戻る我が身には心地よし。読むに値しない感想をご容赦ください。2015/08/15
団塊シニア
19
本書は今までのエッセイと違い、筆者のプライベートな部分、奥様や、早く世を去った弟さんのことなや交友関係のエピソードも綴られており、内容の濃い一冊です。2013/02/15
sa-
8
五木博之を呼んだのは初めて。全体的に認識の共通点は多かった。深められたところや明確に再自覚したところも。どの時代にも共通するものも多いが、ただ現代の変化はあまりにも急速かつシビア。全治的にはとても良い本です。どの世代でも読んで考えさせられるところは多いと思う。この作者の本、読んでみようかな。2016/09/08
マウンテンゴリラ
4
著者のエッセイは、過去に何度か読んだことがあり、いずれも熟年以降の作品であった。それらについて総じて感じられたことは、強いメッセージ性はないが、落ち着きを感じさせ、浸透性のある言葉に溢れているということであった。本書においても同様の感想を持ったが、同時に、時代性といったものも感じさせられた。高齢化社会と言えば、負の側面のみを語られがちだが、"人間の関係"といったものに新たな価値を求めることの意味を考えてみれば、正の側面も見えてくるのではないか。それは、これまでの経済一辺倒の価値観から脱却し、→(2)2018/10/01