内容説明
『仮名手本忠臣蔵』『義経千本桜』と同じ作者たちによって書かれた『菅原伝授手習鑑』は、「天神さま」として祀られている菅原道真を主人公とした物語です。学問の神さま、菅原道真が、悪魔のような藤原時平にだまされて、怒った末に雷になって復讐をします。さまざまな人間達が活躍する、とてもおもしろい物語です。どうぞ体験をしてください。
著者等紹介
橋本治[ハシモトオサム]
1948年、東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業。77年、『桃尻娘』で講談社小説現代新人賞佳作。小説、評論、古典の現代語訳、エッセイなど多彩に執筆活動中
岡田嘉夫[オカダヨシオ]
兵庫県生まれ。あでやかな色づかいと繊細な線で、一般文芸書の挿し絵、装画など幅広く活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
259
橋本治・文、岡田嘉夫・絵の『歌舞伎絵巻』第3弾。これで三大歌舞伎が揃う。とはいっても、この作品もまた浄瑠璃を原作とする義太夫歌舞伎。後に四世鶴屋南北が登場するまで、歌舞伎の世界ではお客を呼べる作者がいなかったのである。さて、本作だが、三大歌舞伎の中では一番地味だろうか。もっとも、菅丞相が怒りも顕に雷を奮う場面などは、実際の舞台で見るとかなりスペクタクルに富むものであるが。内容的な意味での見せ場は、なんといっても松王丸の息子、小太郎を菅秀才(菅丞相の息)の身代わりに死なせる場面だろう。2025/01/27
ナイスネイチャ
96
図書館本。相変わらず色彩豊かに描かれていましたが、文章とあってない。しかも今回いくら子供向けとはいえ、文章として成り立っていないところが気になってしまいました。絵は綺麗なんだけどなぁ。2014/08/27
万葉語り
40
菅原道真を妬む藤原時平の欲に巻き込まれてしまった、梅王丸松王丸桜丸の三つ子の悲劇。奥義を伝授された武部源蔵の役どころも辛い。天神様は雷になれるのなら、もっと早く登場してくれれば幼い子供も死ななくてよかったのにと、詮無いことを思った。2018-562018/03/10
ほりん
36
歌舞伎絵巻シリーズ3巻。菅原道真が無実の罪で九州に左遷され、雷神=天神になるまでの物語。序で、中国の故事を引いて「植物には人と同じような心を宿す、ふしぎな性質がある」と言い、道真の歌「東風吹かば 匂いおこせよ梅の花 主人なしとて 春な忘れそ」を紹介している。このシリーズに慣れてきたのか、今までの巻より読みやすく感じた。この演目で有名なのは「寺子屋」の場面。歌舞伎ならではの設定で、松王丸を演じる役者のセリフ回しなど、見どころ聞かせどころが多い。逆に他の場面はほとんど知らなかったので、勉強になった。2018/02/25
たま
29
大島真寿美の『渦』、宇佐見りんの『かか』、石牟礼道子の『椿の海の記』など語りのパワーに感心して、今さらながら浄瑠璃を読もうと思い立ちこの本を見つけました。見開き2頁に各場を収め、簡潔な説明、印象的な挿絵で菅原伝授手習鑑の全体をすっきり把握できます。それにしてもこの台本、親王と姫の恋愛、道真の伯母(郡司夫人)覚寿の大立ち回り、農村ののどかな古希祝い、舎人が忠義のため子供を身代わりにする悲劇、道真が雷になって悪人と対決するSFファンタジー等々、どこを取っても面白いけれど、よくまあ盛り込んだものだと思います。2021/02/01
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