内容説明
西洋哲学のはじまりを記すプラトン哲学。なぜ二千四百年を経た現在まで、哲学者たちはこの巨大な哲学と格闘し続けるのか。宗教、文学、科学の歴史、さらには我々の社会にいまなお息づき、新しさを失わないその影響とはなんなのか。気鋭の哲学者が軽妙な理論でこの謎を解き明かし、新たなプラトン像を浮かび上がらせる。
目次
しきたりと無道徳主義
権力と正義
ギュゲスの指輪
類比
エリート層と芸術家
グラウコンの挑戦
気概の人
専門化
知識と思いこみ
洞窟の神話
宗教的解釈
詩的解釈
科学的解釈
無秩序な国家無秩序な人民
詩人追放
神話よさらば
著者等紹介
木田元[キダゲン]
日本の思想界を代表する哲学者。中央大学名誉教授、西洋哲学を親しみやすい日本語で紹介したことでも知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鵜殿篤
0
イギリス経験論の立場からしてみれば、プラトンの論説は独りよがりな妄想に満ちている。認識論も、倫理説も、政治論も。様々な不満をオブラートに包みもせずぶっちゃけてるとはいえ、著者は最も根底の部分でプラトンに敬意を表してもいる。著者とプラトンが、ほんものの探求とはなんらかの固定した知識を誰かから客体的に学び取るようなものではなく、みずから主体的・能動的に考える姿勢にあるという洞察を共有しているからだ。2017/08/09
inuiwa007
0
国家を統治する者には、ある資格が必要であるという考え方については共感。プラトンの掲げる「哲学王による統治」に対しては、理解し難い面があるが、、、。例えば、ウソ発見器をパスした者のみ選ばれるといったような、現行の選挙に付加されるべき何らかの採用方法が必要ではないかと考える今日このごろ。本筋から若干外れるが、フロイトが哲学を好まない根拠のようなものが垣間見えた気がした。2012/03/02
bibliophile_k
0
入門書というか、プラトンの『国家』のわかりやすい解説書的なものを期待していたが、少し違った。翻訳のせいか、読みにくかったり判りにくかったりする場所が多い。しかし、流れはわかるし、大体のことは何となく理解できた気にさせてくれる。様々な点において、極端だな、というのが率直の感想であった。美や芸術に関する章は興味深かった。すべてにおいて極端なので、個人的にはアリストテレスの哲学を読んでいる方が納得がいくな、と思った。より理解を深めるためにも、もう少しほかのプラトンに関する書籍を読み漁ってみようと思う。2025/07/18
-
- 和書
- 憲法の本質・労働者綱領