ミラコロ

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  • サイズ B6判/ページ数 186p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784591092682
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

疲れた男をつき動かしたのは、一通の手紙だった。記憶の底へ封じこめた故郷の町から届いたそれは、廃業がきまった映画館の最後の上映会を報せる懐かしい百合子からの手紙だった。あの百合子が、なぜ?男は峡谷を走る小さな鉄道に乗り込んだ。空と谷のあいだを列車はゴトゴト走ってゆく。しずかに、優しく、人生の哀しみを脱がせながら。たまらなく温かい、大人の「奇蹟」の物語。

著者等紹介

高山文彦[タカヤマフミヒコ]
1958年宮崎県高千穂生まれ。法政大学文学部中退。2000年にハンセン病と闘いながら二十三歳の若さで逝った昭和初期の小説家・北条民雄を描いた『火花』(角川文庫)で、大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。『ミラコロ』が初の書き下ろし長篇小説となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あじ

30
同級生から届いた手紙を、召喚状として受け取った敬介。ふたりでよく映画を観に行った喜楽館が閉鎖するという。彼には父と母を奪った忌まわしい記憶を浄化出来ぬまま、田舎を飛び出した過去があった、、。名作映画『ひまわり』を引き合いに、乗合列車の乗客たちを車窓に映る走馬灯で魅せた筆者。単調な揺れの中で見過ごせぬ“筆者の才”が、私の肩を時おり揺する。長い長いトンネルを抜け敬介は初めて気づく、己にとって誰が“ひまわり”だったのかを。本作は筆者のデビュー作。この作品以降の小説を読んで、才の感触を確かめたい。2020/02/12

ひねもすのたり

5
本書はノンフィクションライターである高山文彦さん初の小説です。北條民雄の評伝で大宅賞を受賞する一方で社会問題にも斬り込むスタイルのノンフィクションライターが何ゆえ小説??という思いで手に取りました。 故郷に辛い思い出しかない主人公が山間を走るローカル線で帰郷するというストーリー。主人公の心理描写は巧みだと感じましたが、かなり平板な印象を受けました。タイトルのミラコロ(ミラクル)も解せません。しかし著者の経歴を見てその謎が解けました。作品のモデルは06年の水害で廃止となった宮崎の高千穂鉄道のようです。↓ 2015/04/27

azuno

2
雰囲気が濃密。悪くなかった。でもミラコロってなんなの?2014/05/04

arkibito

2
あの神戸連続児童殺傷事件のノンフィクション作家が初めて手がけた小説。ルポライターらしく描写が非常に丁寧で読みやすい。淡々と物語が過ぎてゆく感じ。もう少し話に強弱や広がりがあったらなあ。2010/03/19

BB

1
舞台は宮崎、地元の映画館が閉館するのを機に帰省する。その旅で様々な人、台風の被害にあった光景を目の当たりにしながら、学生時代の思い出を回顧しながら物語は進む。何かが起きるわけでは無いが、何か心に後味が残る作品。2024/06/05

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