内容説明
疲れた男をつき動かしたのは、一通の手紙だった。記憶の底へ封じこめた故郷の町から届いたそれは、廃業がきまった映画館の最後の上映会を報せる懐かしい百合子からの手紙だった。あの百合子が、なぜ?男は峡谷を走る小さな鉄道に乗り込んだ。空と谷のあいだを列車はゴトゴト走ってゆく。しずかに、優しく、人生の哀しみを脱がせながら。たまらなく温かい、大人の「奇蹟」の物語。
著者等紹介
高山文彦[タカヤマフミヒコ]
1958年宮崎県高千穂生まれ。法政大学文学部中退。2000年にハンセン病と闘いながら二十三歳の若さで逝った昭和初期の小説家・北条民雄を描いた『火花』(角川文庫)で、大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。『ミラコロ』が初の書き下ろし長篇小説となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 和書
- 天狗の山くらまだより