出版社内容情報
<白い城>は全世界と教えられて育った王子エルム。少女の訪れが彼の世界を大きく変えた - - - 。現代の家族を描く寓話的物語。
内容説明
「あたし、ここよ」その人は、そういってエルム少年の前にあらわれた。そのときからだ。父さま陛下の支配するたそがれの『白い城』に赤いばらがからみつき、黄金はちみつの木は真実の物語を語り、母さま陛下がなつかしい歌を歌うようになったのは。エルムの知っていた小さな世界は、ばらとともに大きく広がっていった―。幻想的な世界の中に、北欧を代表する児童文学作家ハウゲンが、繊細な筆致で子どもの心理と現代の家族の姿をたくみにつづる寓話的ファンタジー。
著者等紹介
ハウゲン,トールモー[ハウゲン,トールモー][Haugen,Tormod]
1945年、ノルウェーのトリシルに生まれる。家族との関係にゆれる子どもの心理をたくみに描き、『魔法のことば、ツェッペリン』(文研出版)『夜の鳥』(ベネッセ)などでノルウェー児童図書賞を受賞。1990年国際アンデルセン賞作家賞を受賞した、北欧を代表する児童文学作家
木村由利子[キムラユリコ]
大阪生まれ。大阪外国語大学デンマーク語学科卒業後、コペンハーゲン大学に留学。北欧の児童文学を中心に、ひろく翻訳をおこなう
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感想・レビュー
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霞草
4
初読み作家さん。黄昏の白い城に薔薇が絡み付き、涙が黄金はちみつの木に落ちた時その木は真実を歌い、主人公の閉ざされた世界は広がっていく…夢見がちな王と王妃が創りだした理想の“幸せな”王国。いつしか温かな笑顔は消え、王は宝を民から奪っていたトロルに、王妃は嫉妬し憧れていた塔の娘と薔薇に自分を重ね、子供も現実も見ない振り。そんな見せかけの幸せはただ子供達を苦しめ、エゴで育った薔薇が破滅の道へと導いていく。広い世界へと旅立った子供達が充実した日々を過ごし、本当の幸せを知れますように。2012/10/01
shou
3
タイトル通り、薔薇の咲く美しい城を舞台に、完全な夢の国を築こうとした王様とお妃様と、その子供たちによる家族の寓話。夫婦間の緊張や子供たちの自立が、魔法の遣り取りや存在を消された姉、透明になってしまった兄として描かれていく。薔薇の彩る美しい童話だから描ける世界でもある。2014/05/07
斑入り山吹
3
ブックオフで半額だった。しかしそれでも損したような気分…。久々に外したぜ、ちっ。多分に観念的。訳者あとがきに、「大人だって、一皮むけば、こどもと少しも変わりません。」とあった。そんなことは身をもって知っているけれど、その一皮が大事なんじゃない!そんな子供のままで子供を作ったらいけないでしょうよ!できなきゃヘルプを求められないとダメでしょう。ああほんとにぐだぐだな話だった。だらだら長い割に進まないし、サイテーだ。すみません、こんなんで。2012/01/25
nanako
1
現代の家族の姿を、王様やお姫様が登場するメルヘンに描いた作品。家族を自分の思い通りにしようとする王様。自分が1番かわいいお妃様。王様の束縛に耐えられず、家出をしたお姫様。王様とお妃様に無視され続けて、姿が透明になってしまった王子様。中学の頃は深く読むことができず、数ページで閉じてしまった本。最近あらためて読んだら面白さが分かり、一気に読み終えました。2013/10/31
YoU
1
読んだ後のすっとした気分が変な気もしたけど、ちょっと前向きになった。