出版社内容情報
「がく」は「しゅんたろう」と絶交した。しゅんたろうが元気がなくなったってもう遊ばない。子ども同士のぎりぎりの関係を描く。
内容説明
ぜっこうするってきめたんだ。いっしょうあそばないってきめたんだ。だけど…だけど…。『けんかのきもち』第2弾。
著者等紹介
柴田愛子[シバタアイコ]
1948年、東京都生まれ。保育歴30年。東京都の私立幼稚園で10年、幼稚園教諭を経験したのち、自主保育グループの保育者、保育雑誌の編集などの仕事を経て、1982年「子どもとつくる生活文化研究会」(寺内定夫発起人)の仲間3人で「りんごの木」を発足し、20年になる。子どもに関わるトータルな仕事をめざし、現在15人のスタッフで活動している。初めての絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)で、第7回日本絵本大賞受賞
伊藤秀男[イトウヒデオ]
1950年、愛知県生まれ。1976年初個展以来、名古屋・東京はじめ各地で個展を開く。世界絵本原画展、90年代日本の絵本原画展、現代日本絵本原画中国展などに出品。『海の夏』(ほるぷ出版)で、第41回小学館絵画賞受賞。『けんかのきもち』(ポプラ社)で、第7回日本絵本大賞受賞。紙芝居『なぜおふろにしょうぶをいれるの?』(童心社)で、第40回五山賞絵画賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
90
おとなももちろんだけど、子どもの社会も大変ですね。「許せない」「ぜっこうだ」。ともだちの前で宣言した男の子。怒りを抱き続けるのってエネルギーがいるけど、宣言した手前「まっ、いいか」で済ますこともできない。頑なになって「ゆるす」と言えないのも、きっと辛いね。保育現場で30年以上の経験を持つ作者。実話をもとにした絵本のようです。2002年7月初版。2015/06/07
ごんたろう
17
目が血走る。がくは、しゅんたろうと絶交を決める。かくれんぼを途中で放棄したという。周囲も、しゅんたろうには思うところがあるらしい。しゅんたろうは反省し謝罪するが、依然としてがくは許せない。先生の強い説得でがくは絶交を解くことにした。涙が出てくる。子どもの世界がリアルに描かれる。遊びには、互いを尊重したり、まとめたり、楽しんだりと様々な要素が含まれる。自分で自分をうまくコントロールできないからトラブルは絶えない。それを一歩ずつ解決に向けて進めるところに人間らしさが見える。先生も全力で子どもと向き合っている。2015/11/08
遠い日
17
人を許すとはどういうことだろうか。「絶交する」とことばを投げつける方の立場は、どういう位置にあるのだろう。子どもの世界の複雑さを濃やかに描く。絶交の理由を求めて、探れば、そこにはひとりよがりな考えも垣間見える。ことばを尽くそう。それでしかわかりあえないことは、確かにあるのだから。成長の過程にある子どもの姿は苦しみ、悩み、怒りや涙を伴うけれど、やっぱり瑞々しい。2015/04/05
サルビア
16
あまりに勝手な振る舞いばかりする友だちに怒って、もうぜっこうだという。その友だちは日に日に元気をなくしていく。見かねて間に入ったあいこ(大人)に対して、どろぼうは許せるのか?とか、人殺しは許せるのか?と問い詰める。結局、最後はぜっこうを解くが、友だちはまた前のように自分勝手なことを言う。最後はその子はバツが悪くて、えへへと笑うが、子どもにはどう読み聞かせしようか悩む本だった。2017/01/14
ヒラP@ehon.gohon
15
子どもたちは子どもたちなりに真剣で、一生懸命考えているのだと思います。 絶交という言葉の重さのきっかけが他愛ないことであっても、精一杯自己主張しているのです。 展開が飛躍しているなかで、固まってしまったあいこ先生の苦労がにじみ出ている作品です。 でも、こうやって仲直りしたり喧嘩したりして育っていく子どもたちは、フォローしながら見守っていくことが肝心ですね。2018/06/08