出版社内容情報
古典的学説・学派から最近の論点や理論まで、正義論の基本をわかりやすく説明したうえで、貧困・格差や環境破壊などの現実問題に正義論がどのように応用されうるのかを論じる。架空例・コラムを交えつつ、哲学的思考を鍛える豊富な素材を提供する。
目次
正義論へのいざない
第1部 ベーシックス(正義にかなった社会とは何か;幸福を増大することが正義なのか;何を分配するか;どこまでが個人の責任か;再分配は平等をめざすべきか;再分配は自由を侵害するか)
第2部 フロンティア(貧困と格差;家族と教育;医療と健康;死刑;戦争;人口;地球環境)
著者等紹介
宇佐美誠[ウサミマコト]
京都大学大学院地球環境学堂教授。法哲学専攻
児玉聡[コダマサトシ]
京都大学大学院文学研究科准教授。倫理学専攻
井上彰[イノウエアキラ]
東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻准教授。政治哲学・倫理学専攻
松元雅和[マツモトマサカズ]
日本大学法学部准教授。政治哲学・政治理論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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すずき
2
類書と比較しても最近の研究も含めて広い範囲をカバーしているので良いと思います。特に井上、松元の担当章は情報量が多くて整理も丁寧だなという印象を受けました。政治哲学ならまずはこれから、と言えるようなスタンダードな教科書になって行くような気がします。 ケチをつけるなら宇佐見担当章にやや怪しい記述があった点や(特に平等周辺)、死刑の章の内容の薄さ(無理にこのテーマを入れるなら刑罰の哲学の諸論点のサーベイくらいすべき)、民主主義や正統性周りの章が欲しいくらいでしょうか。でも紙幅の制約もあるので十分だと思います。2019/10/19
spanasu
1
正義に関する理論についての第一部、死刑や環境といった個別テーマについての第二部となっていて、第一部は難しかったが、第二部は身近なこともありわかりやすかった。第一部については理解しにくく読み流したところもあったが、ロールズの理論についてはようやく少しわかったのはよかった。2020/03/03
inu
0
通して読んだので登録。各章とも論点がわかりやすく整理されておりよかった。運平等主義について書かれた第5章は、アンダーソンによる批判以降の議論の展開について詳しく書かれておりありがたい。難しいけど。戦争について書かれた第12章では、正戦論の伝統主義と修正主義の対立というものがあるということを知れた。面白そう。2022/08/04
susuusuu_
0
ロールズ入門編としてベターと言われて多用されている書籍です。抽象的な話、概念的な説明意外にも、実際の現実の法制度や対応などに落とし込んだ例があるため、わかりやすいです。