内容説明
本書は、明治後期の社会問題の深刻化に対応する政策(地方改良)や社会改善事業(家庭学校や孤児院の創設など)に含まれた諸構想を国民統合の観点から考察した著者の最初の論文集である。社会的困難に陥った民衆の生活改善やそれへの政策的対応を主題としたある種の民衆思想史を希求した。
目次
第1章 「地方改良」理念の一断面―官製「地方改良」運動の周辺
第2章 「地方改良」と留岡幸助―その思想と行動をめぐって
第3章 石井十次を支えた人々―石田祐安と東洋伝道会
第4章 孤児の運命―石井十次を支えた人々
第5章 明治中期における少年非行への対応―石井十次と留岡幸助の「実践」の意義
第6章 明治末年における「健全なる身体」―病気・健康とその対策
著者等紹介
田中和男[タナカカズオ]
1947年奈良市に生れる。1969年立命館大学文学部退学(日本史専攻)。1972年同志社大学法学部卒業(法律学科)。1979年同志社大学大学院法学研究科博士課程中退。現在同志社大学・龍谷大学非常勤講師。主要著書『政治思想と平和』(共著、昭和堂、1988年)『人権歴史年表』(共著、山川出版社、1999年)『日本社会福祉の歴史』(共著、ミネルヴァ書房、2000年)
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