出版社内容情報
減り続ける投票率、金や人脈がものを言う選挙戦。有力者の声しか反映されない政治に人々は背を向けるばかり。その解決策として、くじ引きで議員を選ぼうと訴えた本書は、欧米でベストセラーとなった。じっさい多くの国では陪審制や裁判員制度が実施され、アイスランドではくじで選ばれた市民が憲法改正案を策定している。多数の実例に基づく著者の主張に、読者は深く共鳴することだろう。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
izw
10
民主主義には直接と間接があり、間接民主主義は選挙制で支えられている、と思い込んできたが、どうも違うらしい。古代ギリシャのアテナイでは市民が少なく直接民主主義と呼ばれるが、誰もが参加できる民会の他に、五百人評議会、民衆裁判所、執政官という統治機関は抽選制と入替制で運営されていた。フランス革命、アメリカ革命で選挙制が導入されたのは、貴族主義から民主主義に変えるためではなく、世襲貴族政から選挙貴族政に帰るためだった。選挙型代議制は制度疲労を起こしているので、抽選制に移行すべきという。目からウロコである。2019/12/06
Mc6ρ助
10
世情に疎いアラ還の爺さまには、予想もしない「抽選制(熟議)民主主義」、この本を読んですっかりその気になってしまい、制度疲労を起こした選挙制民主主義を救う素晴らしい考え方だと思うのだが、今の日本で受け入れられそうにもないのが、そして、これを導入するための方策を思いつかないのが結構哀しい。2019/10/09
matsu
9
「選挙制を疑う」 めちゃくちゃ面白かった。この本のように自分の目を開かせてくれて新しい考え方を学べるから読書はやめられない。 選挙というのは本当に民主主義なのだろうか?という問題に答えている。 要旨は以下の通り 1)近年のポピュリズムの台頭など民主主義への信頼が揺らいでいる 2)その一つの理由として選挙制度問題がある 3)選挙とは貴族制民主主義である 2019/05/23
ta_chanko
5
選挙型代議制民主主義は現在、世界各国で行き詰まりを見せている。そもそも選挙による代議士の選出と、代議士による政治の寡占は貴族政治につながる。あれだけ人権を称揚したアメリカやフランスの革命も、民衆に政治を託することなく、選挙エリートによる統治を選んだ。以来、世界は民主主義=選挙と捉える選挙原理主義で覆われてしまった。古代アテネや中世イタリアの都市国家における、抽選制に基づいた熟議民主主義の成功例を再考し、現代においても導入していく必要がある。まずは選挙制と抽選制の二重代議制から。真の民主化のために。2020/01/25
monado
5
政治的関心は高まっているのに、政治家や政党への信頼は失われている。なぜそのようになってしまったのか?それは選挙制が悪い! そもそも選挙制はフランス革命以降に反民主主義を意図して作られたシステム。それを段階的に廃止して、抽選をつかった選挙制へ移行すべきと作者は論じる。 終盤に紹介されるブリシウスの多体抽選制は画期的立法システムに思える。2019/05/02