対極 - デーモンの幻想

対極 - デーモンの幻想

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 371p
  • 商品コード 9784588490026
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

10
物語の語り手である「ぼく」は、巨万の富を得、夢の国の造物主となったという旧友「パーテラ」の招待に応じて、現代文明から隔絶された奇妙な国「ぺルレ」を訪れる。「ぺルレ」でのおかしな日常生活、次から次へと現われる奇人変人たち、そしてその背後に不気味な呪縛の影を落とす謎の男「パーテラ」といった興味の尽きぬ展開は、カフカの傑作『城』を髣髴させるが、中盤以降、夢の国の没落に伴って飛び交うことになる悪夢的なイメージの数々には、ただひたすら戦慄するばかりだった。想像力の作用のみによって描かれた小説の最高峰。これはすごい。2011/07/30

gu

3
なんかもっと精緻に組み上げられた、趣味的な作品を予想していただけにいい意味で裏切られた。夢の持つ禍々しさが文章として表れようとしている感じ。主人公が訪れる「夢の国」は、現実の不恰好なパロディとして描かれている。例えば建物の多くが国外からそのまま持ち込まれていることや、ふざけた貨幣制度等。そんな夢の国の滅亡が後半部をまるまる使ってこれでもかとグロテスクに描かれる。フィクションの使命は世界の終りのリハーサルだと言わんばかりに。怪奇幻想の枠にはめるのがためらわれる異様な小説。2015/03/22

龍國竣/リュウゴク

1
トンネルを抜けると夢の国があった。舞台が夢の国であること、著者が画家である為でもあろうか、情景の描写がじっくりと書き込まれている。また「ぼく」が大きな位置を占めている。アメリカ人が入ることによる混乱というのは、時勢を表したものだろうか。死の匂いが濃厚である。2014/01/10

almondeyed

0
クービンはカンディンスキーやクレーなどとのかかわりで興味を持ち、この小説を借りたのだが、だんだん読み進めていくうちに苦しくなってきて、なんでこんなに苦しみながら読んでるんだろう?と思いながら読了した。 それからしばらくしてあの大震災が起き、TVやネットから流れてくる震災時の映像を目にしたら、この小説のことを思い出さずにはいられなかった。“予感”みたいなものだったのだろうか?2011/02/01

trash

0
中盤からラストにかけての奇怪なイメージがすごい。”夢の国の完全な没落となった最悪の事態──それは、動物の増加と共に始まり、とめどなく、急速に拡大していく謎のプロセスの進行であった。崩壊──。それは、すべてのものに、例外なく忍び寄った。さまざまの素材で造られた建造物、年月をかけて集めた作品、パーテラが金をかけた一切が虚無に捧げられた。あらゆる壁には亀裂が走り、木は腐り、鉄は錆び、ガラスは曇り、布地はボロボロになった。貴重な美術品も、なすすべもなく毀れた。それは、納得のゆく根拠とてない内部崩壊であった”2010/12/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/434370
  • ご注意事項

最近チェックした商品