出版社内容情報
シラーの詩から四半世紀以上もの歳月をかけてベートーヴェンが曲をつけ完成した第九交響曲は、いかにして世界的大成功をおさめたか。
内容説明
シラーの詩『歓喜に寄す』があらわされてから四半世紀以上もの歳月をかけ、すでに聴覚障害をきたしていたベートーヴェンが曲をつけて誕生したのが「第九交響曲」であった。1824年のウィーンでの初演から今日にいたるまで、いかにして「第九」は世界中の人びとに愛され受け容れられるようになったのか。本書は、多くの同時代史料と文学テクストを駆使して、「第九」の作詞者としては過小に評価されてきた詩人シラーとベートーヴェンの人物像にはじまり、世界的な大成功をおさめることになった交響曲の物語を、近代ヨーロッパの社会と文化の流れにそいつつ躍動感あふれる筆致で描き出す。
目次
1 暗雲に覆われた「世紀の一瞬」―第九交響曲の初演
2 『歓喜に寄す』―世界詩に向けての九つの探検(シラー)
3 「いまや見つけたり…歓喜を!」―歓びへと向かう茨の道(ベートーヴェン)
4 「この口づけを、全世界に与えん!」―ベルリン、ロンドン、パリ、ニューヨーク
5 「創造主を心に感ずるや、世界よ?」―筆削者の登場
6 「時流が容赦なく分け隔てたものを…」―崇拝と論争、階級闘争
7 「汝ら跪くや、幾千万の人びとよ…」―第九交響曲はいかにして堕落したか
8 「この音ではなく!」―キューブリック、カーゲル、そしてヨーロッパ讃歌
10 フィナーレ―大激論のあとでの歓喜
著者等紹介
ヒルデブラント,ディーター[ヒルデブラント,ディーター][Hildebrandt,Dieter]
1932年、ベルリン生まれ。現在、フランクフルト近郊に在住、フリーの著述家として活躍。ボン、ベルリン、ミュンヘンにて学業を終え、アメリカ留学を経て、長年にわたり『ツァイト』、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙など、ドイツの有力メディアに演劇批評を寄稿するが、その後さらに、ドラマツルグ(脚本・演出アドバイザー)として、より実際的・直接的な側面から演劇の分野に関わることになる。すでに30代からフリーランスの文筆家として活動、2つの小説のほか、伝記的作品や音楽関連の著作を手がけてきた
山之内克子[ヤマノウチヨシコ]
1963年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科西洋史専修博士後期課程単位取得満期退学、ウィーン大学精神科学部経済社会史学科博士課程修了。神戸市外国語大学教授。西洋史学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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