内容説明
アジア諸国の戦後復興に経済援助が果たした歴史的役割とは―脱植民地化とヘゲモニー移転、冷戦が進行するなかで、欧米の開発援助がアジア諸国の経済的自立や国際秩序の形成にどのような影響を及ぼしたかを追究する。
目次
戦後アジア国際秩序の再編と国際援助
第1部 イギリスの脱植民地化とコロンボ・プラン(コモンウェルス体制の再編構想とアジア開発援助;衰退国家の武器―イギリスのスターリング・バランスと開発支援;インド工科大学の創設と国際援助;時間と金の浪費?―一九五〇年代のマラヤ、シンガポール、ボルネオ;イギリスの対外援助政策の再編、一九五六~一九六四年―植民地開発から独立国に対する援助へ;東南アジアに対する技術援助とイギリス広報政策)
第2部 コロンボ・プランをめぐる支援戦略とその変容(戦後アジア政治・経済秩序の展開とエカフェ、一九四七~一九六五年;アメリカの冷戦政策と一九五〇年代アジアにおける地域協力の模索;二つの戦争の間の平和攻勢―フルシチョフのアジア政策、一九五三~一九六四年;コロンボ・プランの変容とスターリング圏―一九五〇年代後半から一九六〇年代初頭;多角的援助と「地域主義」の模索―日本の対応;アジアにおける国際秩序の変容と日英関係)
著者等紹介
渡辺昭一[ワタナベショウイチ]
1953年生まれ。東北学院大学文学部教授。専攻はイギリス帝国史、国際関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mittsko
6
国際関係の政治経済史の論集。科研による世界的な成果。植民地主義・帝国主義の支配から、冷戦と国連の体制へ、その移行期(終戦から60年代ごろ)にあるアジアを、「コロンボ・プラン」に注目して描き出す。大英帝国の解体と冷戦構造の確立が一挙にすすんだこの時期については、世界的にも研究がほとんどない。そこに、国際的援助政策を手段とした秩序再編(背景はもちろん、共産主義の爆発的伸長)という角度から切り込むのが本書だ。コモンウェルス史の盲点をつく研究にもなっている。大変有意味な、きわめて意義ぶかい政治経済史の研究!すごい2021/01/26
ワッキー提督
2
大戦後から60年代ぐらいまでのアジアにおける国際政治経済の変動を追った一冊。「帝国」が徐々に解体されていく中で、どのように「開発」が台頭してきたのかについて理解を深められる。WW2後の「帝国史」を見るうえで欠かせない一冊になりそう。2017/08/01
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