出版社内容情報
これまで軽視されてきた東アジアのユダヤ人社会を、国際関係史の枠組みのなかで実証的に描きだす。
内容説明
19世紀半ばのアヘン戦争を契機に成立した上海の租界には、いくつものユダヤ人コミュニティが形成された。のちに上海にはロシア革命やナチス・ドイツによる迫害を逃れて多くのユダヤ難民が流入し、国際政治の渦に巻き込まれてゆく。中国大陸を蹂躙した日本も、欧米との外交関係をにらみつつ、ユダヤ人への対応を検討していった。ヨーロッパ各地から上海に渡り、戦後は故国イスラエルの再興を担ったユダヤ人の苦悩に満ちた歴史とは、どのようなものであったのか。本書は、内外に散在する膨大な一次資料とインタヴューをもとに、これまで軽視されてきた近代東アジアにおけるユダヤ人の歴史を、ひろく国際関係史のなかに位置づけて詳細に描きだす。
目次
序章 東アジア近現代史の中のユダヤ人
第1章 上海ユダヤ人社会の成立と発展
第2章 ユダヤ難民の発生
第3章 ユダヤ難民、東アジアへ
第4章 日本のユダヤ難民対策
第5章 ユダヤ難民の収容問題
第6章 太平洋戦争前夜の上海
第7章 開戦とユダヤ難民
第8章 上海脱出
第9章 イスラエル独立と中華人民共和国の誕生
終章 新たな旅立ち