出版社内容情報
地獄絵の只中で九死に一生を得,広島逓信病院長として被爆者の治療に当った著者が,その異常な体験のすべてを克明に記録し,極限に生きた人々の献身と勇気を綴る。
内容説明
一瞬の閃光の下に現出した地獄絵の只中で九死に一生を得、広島逓信病院長として被爆者と生死を共にした著者が、ヒロシマの56日間の異常な体験を克明に記録し、極限に生きた人々の献身と勇気を渾身の力を込めて綴った稀有のドキュメント。人類史上初の核被爆体験の貴重な証言として海外にも広く翻訳・紹介され、ノーベル賞作家エリアス・カネッティは、「この日記の各頁が熟考に値するといっても過言ではない」と本書を絶讃した。被爆直後の広島市内を撮影した貴重な記録写真46葉を付す。
目次
1 地上最悪の日
2 焦土の中の病舎
3 国亡びて山河あり
4 眠られぬ夜
5 恐怖は果しなく
6 あの犬も原爆症
7 慢性原爆症患者
8 あらしのあと
著者等紹介
蜂谷道彦[ハチヤミチヒコ]
1903年岡山県に生まれる。岡山県立矢掛中学校、第六高等学校を経て昭和4年岡山医科大学卒業。その後稲田内科にて研究。昭和12年学位を受け、同17年広島逓信病院院長。昭和22年から20年間、復興発展途上の広島市に住み、広島と共に暮らす。その間原子爆弾調査委員、医師国家試験委員。昭和41年8月退官。昭和42年以後は郷里に帰り、晴耕雨読の生活に入る。昭和55年4月13日死去
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白玉あずき
7
「忘却のしかた 記憶のしかた」で一章を費やし紹介された本。先月広島の平和公園を訪れた記憶も新しく、これも縁と借り出しました。著者は爆心地に近い病院の院長。死亡した患者の病理解剖を喜び、「原爆症」解明には他機関の医師たちに対抗意識をもやすなど、根っからの医者です。どんなに多数の死者を出そうと、生きのこった者は元の職場に戻り懸命に働きだす。何よりその日常性の強さに感動します。最後進駐軍の将校が言った言葉に対して『(将校は原爆の惨禍に対して)「私だったら国を訴える」と厳粛に言い放って黙った。国を訴える、国を訴2013/12/18
瀧本往人
0
医者ならではの視点からの貴重な被爆「記録」であると同時に、当時の様子をつぶさに書き記そうとした「日記」でもある。どうにもならないくらいに凄惨な現場にいるにもかかわらず、本書は強さと明るさに満ちている。それは、体の軽妙さだけではなく、著者の、生き延びようとする意志、患者を励まし治療に全力を尽くそうとする意志の表れであろう。http://ameblo.jp/ohjing/entry-11511115176.html2013/04/19
-
- 電子書籍
- レベル9の閲覧要員31 ROCKETO…