出版社内容情報
かつては田を耕し、山から伐り出した材木を運び、塩の袋を背に街道を歩いた牛は、農業の機械化や自動車の登場によって役牛としての役割を終え、都市の風景から姿を消して久しい。しかし今もなお、牛は乳牛・肉牛として、人間との深いかかわりを持ち続けている。本書は、その生物学的特徴、日本への渡来経路や品種改良について述べるとともに、牛をめぐる信仰や闘牛等の民俗、郷土玩具までを論じ、食文化の未来をも展望する。
【目次】
はじめに
第1章 ウシという生き物
1 家畜牛の祖先種
2 オーロックスの特徴
3 ウシの分類学上の位置づけ
4 ウシの生物学的特徴
第2章 ウシと人との出会い
1 洞窟壁画に描かれたオーロックス
2 ハナイズミモリウシとオーロックス
3 ウシの家畜化
4 ウシの品種改良
第3章 日本への牛の渡来
1 出土牛骨
2 牛形埴輪
3 古墳時代の牛の用途
4 渡来経路
5 日本の在来牛
6 和牛品種と改良の歩み
第4章 役畜としての利用
1 駄 載
2 輓 曳(荷物運搬用の牛車)
3 輓 曳(乗用の牛車)
4 輓 曳(耕起作業)
5 牛の調教
6 品種による役能力
第5章 畜産物の利用
1 肉利用の歴史
2 乳利用の歴史
3 皮革の利用
第6章 信仰・玩具・守護
1 牛と信仰
2 牛の郷土玩具
3 牛を守護する
4 厩猿信仰
終章 牛と日本人のこれから
1 環境負荷の低減
2 アニマルウェルフェア(動物福祉)
3 肉資源としての牛
4 和牛のこれから
参考文献
あとがき