出版社内容情報
物と物,人と物とを結びつける不思議な力を秘めた「ひも」の謎を追って,民俗学的視点から多角的なアプローチを試みる。『結び』,『包み』につづく三部作の完結篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫柳
4
ひもというものが作業結びや装飾結びだけでなく、記録や測定など、人類の知に大きく貢献したことが本書でよく分かる。その測定法は現代に比べるとお粗末なもので、限界があったことからそれ以上は発展しなかったかもしれない。しかし現代でも墨壺のように一部使われていることもあることが素晴らしい。縄の語源は直輪だそうだ。直にも輪にもなるフレキシブルな性能こそ、人がひもに絶対な信頼を寄せた理由だろう。さらに実用化をはかるために撚る技術を生み出し、現在のロープ作りにも使われている。受け継がれた技術をありがたく使いたいと思う。2024/07/07