出版社内容情報
古代ギリシア以来、多くの哲学者らによる改訂をへて、今日まで息づいている原子論的世界観。明治の受容史をも含めた、初の包括的論…原子論とは、世界がそれ以上分割できない最小単位、原子(アトム)から構成されているとする説である。古代ギリシアのデモクリトスらに始まり、エピクロスやルクレティウスが提唱したこの世界観は、ガッサンディからヒューム、ライプニッツ、マルクスなどによる哲学的改訂を経て、現代科学にまで息づいている。明治日本における受容史や現代物理学の視点をも展望する、本邦初、全11章の包括的論集。
序 【田上孝一】
第1章 古代原子論 デモクリトスとエピクロス、二つの原子論の差異をめぐって
【金澤 修】
はじめに
1 レウキッポスとデモクリトス
2 エピクロス
おわりに
第2章 ピエール・ガッサンディの原子論 エピクロス主義、キリスト教、新科学
【坂本邦暢】
はじめに
1 エピクロス哲学の歴史
2 聖職者にして文献学者にして自然哲学者
3 新たな天文学と原子論
4 摂理の導入と分子
おわりに
第3章 ジョン・ロックと近代粒子説 近現代の存在論、認識論への影響
【青木滋之】
はじめに
1 ガッサンディとロック
2 ボイルとロック
3 『人間知性論』での粒子説の展開──物体の性質と本質、自然学の限界
おわりに
第4章 ライプニッツと原子論 〈アトム〉から〈モナド〉へ
【池田真治】
はじめに
1 初期ライプニッツの原子論──物体的アトムの精神的基礎づけ
2 中期ライプニッツの原子論批判──物体的アトムから実体的アトムへ
3 後期ライプニッツとモナド論──実体的アトムからモナドへ
おわりに
第5章 ヒューム『対話』のエピクロス的宇宙論 古代原子論とダーウィン主義の間
【木島泰三】
はじめに
1 近代における目的論的自然観とイギリスの自然神学
2 ダーウィンとヒューム
3 古典的エピクロス主義とダーウィン主義の差異と連続性
4 『対話』の中でのエピクロス的宇宙論の位置づけ
5 フィロのエピクロス的宇宙論の考察
6 ヒュームの葛藤と『対話』の多声性
おわりに
第6章 コペルニクス的転回と原子論 カントのライプニッツ受容と批判
【小谷英生】
はじめに
1 前批判期の議論──モナド論の修正と擁護
2 批判期におけるモナド論批判
おわりに
第7章 マルクスの原子論 現実の理想からの疎外
【田上孝一】
はじめに
1 ヘーゲルとの邂逅────「父への手紙」
2 最初の疎外概念────自由の根拠としてのパレンクリシス
おわりに
第8章 ニーチェと原子論 不可分な自己から可分的な自己へ
【本郷朝香】
はじめに
1 『善悪の彼岸』一二節
2 原子論から質点理論へ
3 霊魂原子論から主体複合体としての霊魂
4 主体複合体としての霊魂
おわりに
第9章 ハイデガーと古代原子論 古代原子論の現象学的解釈の試み
【武井徹也】
はじめに
1 古代原子論の基本原理
2 ハイデガーにおける古代原子論の現象学的解釈
3 ハイデガーにおける古代原子論の現象学的解釈の射程
おわりに
第10章 明治期における実在論の系譜と原子論 「一即多」の哲学の展開
【白井雅人】
はじめに
1 明治期における原子論理解
2 井上円了の哲学と原子論
3 井上哲次郎の現象即実在論と原子論
4 清沢満之の哲学と原子論
おわりに
第11章 素粒子と米粒の自己同一性 量子力学的対象と粒子概念
【東 克明】
はじめに
1 「重ね合わせ」の状態
2 素粒子の自己同一性
3 丹治氏の分析──「米粒の自己同一性」
4 時間的推移を用いた自己同一性基準
おわりに
人名索引
田上 孝一[タガミ コウイチ]
編集
本郷 朝香[ホンゴウ アサカ]
編集
内容説明
原子論とは、世界がそれ以上分割できない最小単位、原子(アトム)から構成されているとする説である。古代ギリシアのデモクリストらに始まり、エピクロスやルクレティウスが提唱したこの世界観は、ガッサンディからヒューム、ライプニッツ、マルクスなどによる哲学的改訂を経て、現代科学にまで息づいている。明治日本における受容史や現代物理学の視点をも展望する、本邦初、全11章の包括的論集。
目次
第1章 古代原子論―デモクリトスとエピクロス、二つの原子論の差異をめぐって(金澤修)
第2章 ピエール・ガッサンディの原子論―エピクロス主義、キリスト教、新科学(坂本邦暢)
第3章 ジョン・ロックと近代粒子説―近現代の存在論、認識論への影響(青木滋之)
第4章 ライプニッツと原子論―“アトム”から“モナド”へ(池田真治)
第5章 ヒューム『対話』のエピクロス的宇宙論―古代原子論とダーウィン主義の間(木島泰三)
第6章 コペルニクス的転回と原子論―カントのライプニッツ受容と批判(小谷英生)
第7章 マルクスの原子論―現実の理想からの疎外(田上孝一)
第8章 ニーチェと原子論―不可分な自己から可分的な自己へ(本郷朝香)
第9章 ハイデガーと古代原子論―古代原子論の現象学的解釈の試み(武井徹也)
第10章 明治期における実在論の系譜と原子論―「一即多」の哲学の展開(白井雅人)
第11章 素粒子と米粒の自己同一性―量子力学的対象と粒子概念(東克明)
著者等紹介
田上孝一[タガミコウイチ]
1967年生。立正大学人文科学研究所研究員、立正大学非常勤講師。博士(文学)
本郷朝香[ホンゴウアサカ]
1972年生。立教大学非常勤講師。博士(人文科学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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