出版社内容情報
自国の伝統と近代西欧思想とのせめぎ合いのなかで苦悩した啓蒙思想家たちの姿を浮き彫りにする。
内容説明
西欧列強による分割の危機にさらされていた近代中国において、「富強」のための立憲政治をいかに確立するかは大きな課題であった。それに正面から向き合い独自の構想を展開したのが、厳復、楊度、梁啓超などの啓蒙思想家たちである。彼らは西洋諸国や隣国日本から近代思想を受容しつつ、中国の伝統を「鍛錬」して民本思想や儒教にもとづく内発的論理の可能性を探究してゆくが、結局、袁世凱の帝制によって挫折を余儀なくされた。本書は、これら三人の立憲観や統治をめぐる思想と構想、その変遷を、福沢諭吉や加藤弘之ら明治期日本の知識人との比較を含めて考察し、自国の「伝統」と「近代」のせめぎ合いのなかで葛藤する啓蒙思想家たちの姿を描きだす。
目次
序章 近代中国の立憲政治と知識人たち
第1章 「民度」と「民情」のあいだ
第2章 厳復と立憲政治
第3章 「国会速開」論から「帝制」まで―楊度の場合
第4章 梁啓超と立憲君主制
第5章 明治啓蒙思想と立憲政治―加藤弘之の場合
第6章 明治啓蒙思想のもうひとつの系譜―福沢諭吉の場合
第7章 「帝制」期における啓蒙思想家たち
終章 啓蒙思想家たちの現代的意義
著者等紹介
李暁東[リギョウトウ]
1967年、中国福建省に生まれる。1987年、北京国際関係学院卒業、1992年、北京日本学研究センター修士課程修了(文学修士)、1999年、成蹊大学大学院法学政治学研究科博士後期課程修了(政治学博士)。日本学術振興会外国人特別研究員(PD)を経て、島根県立大学大学院北東アジア研究科助教授
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