出版社内容情報
キッチュとは何か? 〈まがいもの〉〈にせもの〉〈のようなもの〉としてつねに〈真正なもの〉と対比されながらも、美術・音楽・建築・宗教等々、現代の社会と文化の発展を担い、日常のさまざまな領域に生きているキッチュ。この近代的な概念の発生および歴史をたどり、独自の意味と機能を徹底的に解き明かす。
目次
キッチュとは何か
日常生活への浸透
キッチュと疎外―人間と物
キッチュの類型学
キッチュの原則
キッチュの発生
キッチュの生と文学
音楽におけるキッチュ
フォルムのキッチュとアンチ・キッチュ―機能主義
機能主義の危機とネオ・キッチュ
キッチュ及びネオ・キッチュの化学と宗教。善意の倫理学
物の集合―ディスプレイ
アイデア商品について
結論として
著者等紹介
モル,アブラアム[モル,アブラアム] [Moles,Abraham]
1930年パリに生まれる。国立科学研究所(CNRS)に勤務の後、フランス内外の大学で教鞭をとるかたわらラジオ・テレビ・音楽などの仕事に携わり、60年以降はストラスブール大学社会心理学教授を務め、70年からは空間心理学の確立と、日常生活の微小心理学や行為の理論に注目すべき成果をあげた。91年に来日し、92年パリで急逝
万沢正美[マンザワマサミ]
1944年生まれ。東京大学法学部卒。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(文学修士)。東京都立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たく
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キッチュが日常に、大衆に溶け込んでいくメカニズムは興味深い。やはり同時代の人が、ほぼ同じ様式を志向していた裏付けがあった。 産業革命と市民社会の成立に伴い、上流から下流へモノや伝統が廉価版として流れていく。 アーツアンドクラフツ、バウハウスなど隆盛となった当時で、機能主義との対比も面白かった。 キッチュは確かに心地よい、品の良さそうに思われるものだが、あくまで「良い趣味」に向かう過程であった。中庸を抜け出して、絶対的なもの、賛否両論あるものにも目を開くことはなかなか難しい。2025/01/03