出版社内容情報
柳田学の根底に,科学的.実証的な精神,開明官僚の感覚,保守主義的な心情を見出し,その思想の特異な体質と論理構造を考察する。新稿「沖繩と海上の道」他を増補。
内容説明
周知のように、柳田国男は、わが祖先が営々と積み重ねてきたものの探求に生涯をかけた。対象はあくまでもこの島国の風土と人々の生活であった。が、その学問の根底には西欧的な素養が根強く存在している。本書は、柳田と親しく接する機会があった著者が、社会科学者の眼をもって、柳田国男の思想における西欧的な土壌を照射しようとする試みである。祖先崇拝論・民間伝承論を中心に、合理的で実証的な精神、浪漫主義的な発想、19世紀的な自然主義、歴史的相対主義等の多様な要素が剔出され、開明官僚の感覚や保守主義心情のの指摘も含め、その思想の体質と骨格、内的ドラマが浮彫りにされる。柳田国男論の隆盛に先鞭をつけ思想の比較研究に新境地を開いた労作。
目次
柳田国男の思想(西欧文化との接触;海外の日本論に;島国と後の世;祖先崇拝;民間伝承論;保守主義心情;開明官僚としての感覚;農村と国家;産業組合と報徳社;田園への愛慕;沖縄と海上の道)
柳田先生にちなむ随想六篇(「遊海島記」について;柳田先生の周辺;雑木の丘;タゴール;柳田国男と郷土;武蔵野の柳田国男)
著者等紹介
中村哲[ナカムラアキラ]
1912年東京に生まれる。34年東京帝国大学法学部卒。東大助手、台北帝国大学教授、法政大学教授を経て、68‐83年法政大学総長、83‐89年参議院議員を歴任。法学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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