内容説明
都市の創設自体が“事件”であった。あらゆる事件の淵源があったこの根源的事件が、地域集団に固有の定位の型を生む。集住的都市創設の本質をなす“運命”観の不在は、アジア的都市経験における自由の不在を意味しない。むしろ、その心性の基底に眠る“天命”観のもつ情念を覚醒させつつ、古代都市の“流通”世界に遍在した自由への視界を切り啓き、普遍に向けて記号人としての精神的登高を始めよう。そのとき眼下には、数千年に及ぶ“見えない都市”の夢の記憶が次第に浮かび上がる…。
目次
序 都市的流通の脱自性と“東洋的”自由の根源
第1部 “因縁”の定位世界(“意志の病い”と“世間現見”;“ガナ=サンガ”と“本生”的定位)
第2部 “天命”の定位世界
(“作邑”と“天命”;天命的主体―“任侠の習俗”;易姓的弁証法―“文”と“義”;“替天行道”―見えない共同体)
結び 記号人の定位の学としての“事件の現象学”
著者等紹介
前野佳彦[マエノヨシヒコ]
1953年福岡県生まれ。74年東京大学法学部中退、79年同大学院人文科学研究科修士課程修了、80~84年シュトゥットガルト大学・ロンドン大学付属ワールブルク研究所に留学。84年シュトゥットガルト大学哲学部博士学位(Dr.phil.)取得。現在、“文化記号塾”主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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