内容説明
ヒトは一体いつ頃から、散歩を始めたのか―ホモ・アンブランス(散歩人)は古代都市とともに誕生し、都市生活の倍音を伴ったひとつの原初的な定位行動として、散歩は“界隈”という“見えない都市”の隠れた系譜を脈々と紡いできた。バビロンの広場で“神義”を乞う人、アゴラを歩くソクラテス、パサージュの遊歩人ベンヤミン、戦後日本の焼跡・闇市の歩行者らに及ぶ、散歩という日常行動の古層と深層を照らし出す。うろつき、立ち止まり、曲がりくねる“ろば”=生活者の視点から捉えた都市の原像。
目次
“散歩人”の誕生と輪廻転生
第1部 散歩人の発生学的根拠―界隈の系譜学(“人間の道/ろばの道”;文法的記憶喪失―ゲームの履歴;焼跡‐闇市‐商店街―“界隈”の散歩人;パチンコ屋‐パサージュ‐ブルヴァール―陶酔と覚醒;文体の履歴―定位シンタクスの浮遊)
第2部 古代的界隈を歩いた人々(予備的考察 都市から領邦へ―古代的制度圧の型;古代バビロニアの散歩人―“神義論”の発生;ソクラテス―アゴラの散歩人)
結び 界隈の系譜とその情念型
著者等紹介
前野佳彦[マエノヨシヒコ]
1953年福岡県生まれ。74年東京大学法学部中退、79年同大学院人文科学研究科修士課程修了、80~84年シュトゥットガルト大学・ロンドン大学付属ワールブルク研究所に留学。84年シュトゥットガルト大学哲学部博士学位(Dr.phil.)取得。現在、博士後期課程大学院生を中心に“文化記号塾”主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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