出版社内容情報
日本統治から分断体制下のアメリカ軍支配を経て,軍部独裁そして民主主義の模索へとドラスティックな展開を見せた韓国現代政治を民主的運動の視点に立ち展望する。
内容説明
南北に分断された国家・社会という制約条件のもとで、韓国はどのように民主主義を発展させることができるか。著者自らが永年問い続けてきたテーマに対する解答であり、韓国の現代政治を理論的に理解する上での基本文献。アメリカ政治学の諸概念、グラムシを起点とするネオマルクス主義理論、シュミッターらの独裁から民主主義への移行理論などを検討・適用しつつ、全斗煥・盧泰愚政権から金泳三政権成立までの時期を対象に、軍部権威主義の起源・構造・機能を分析、他方、これに対峙してきた民主化運動の展開を跡づけ、その論理と性格を明らかにする。
目次
第1章 過大成長国家の形成と政治的亀裂の展開
第2章 米軍政下・国家多元主義の形成と政治的亀裂の歴史的起源
第3章 韓国社会の政治イデオロギー構造
第4章 地域感情の政治的機能
第5章 支配イデオロギーの構造・機能・変化
第6章 軍部権威主義的体制の内部矛盾と変化のダイナミックス
第7章 民主化の二つの概念―手続き的民主主義と実質的民主主義
第8章 民主主義への移行―台湾との比較
第9章 韓国労働者階級の政治勢力化問題―1987‐1992
第10章 韓国民主主義の理論と実践