内容説明
トマス・モアの『ユートピア』以降の近代ユートピア思想の発展と展開を基軸にしてヨーロッパ文明史を総括的に描き出す。ユートピア思想の最終的な政治的・社会的な体制化として「科学的」社会主義の名のもとに実現された国家体制が1990年前後に脆くも崩壊する現実を目の当たりにし、「幸福で公正な理想社会」をめざしてきた近代ヨーロッパ人の「ひとつの夢」が潰えてしまった過程を、哲学、文学、政治、経済、科学、芸術、音楽等々の膨大な資料からあとづけ、その歴史的意味を検証する。
目次
ユートピア的なるものの夢の跡
焼け落ちたミュンツァーの国
神との賭け
左右対称
ルソーとロベスピエール
パレ・ロワイヤル
ユートピア的理性の弁証法―ラ・メトリとサド
人と超人
フランケンシュタイン
ユートピアと狂気
セルフメイド・マン―クック、シュリーマン、ブルックナー、ロックフェラー
取り返し不可能なもの、最後の楽園
ほほえみの国
レジュメ 一九九二年
著者等紹介
ヴィンター,ミヒャエル[ヴィンター,ミヒャエル][Winter,Michael]
1946年ドイツ北東部のブラウンシュヴァイクに生まれる。ユートピア関係の原典資料の研究『コンペンディウム・ウトピアールム』(1978)で学位を得たあと、フリーのジャーナリスト、小説および放送劇の作家、評論家として幅広い活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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