出版社内容情報
ドイツ哲学革命において,フランス革命の問題性を最も根源的に受けとめたフィヒテの〈行動する自我〉の論理を追求し,歴史的現実に向う思想家の実像を鮮やかに描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
フィヒテとロベスピエールの差違と共通点を指摘する。ジャコバン派は共和主義的市民道徳の貫徹という理論もあったが大部分は現実政治的必要性から、フィヒテはもっぱら道徳的理論からという点。共通点としては両者とも挫折したこと、市民社会の諸矛盾は止揚不可能であったためという部分だという。訳者あとがきには著者に真っ向から反対するショトキーの論を紹介している。ショトキーは、初期の政治的著作を不当にも哲学的ランクへ高め入れることは「フィヒテを端的に革命の思想家へと様式化しようとする傾向によって動機づけられ」ているという。2020/09/17