内容説明
ヨーロッパ社会では、機能分化への移行は歴史的にいかになされたのか。
目次
第1章 はじめに不法なかりき
第2章 伝統的支配から近代的政治への移行における国家と国家理性
第3章 個人・個性・個人主義
第4章 宗教の分出
第5章 道徳の反省理論としての倫理学
著者等紹介
ルーマン,ニクラス[ルーマン,ニクラス] [Luhmann,Niklas]
1927年ドイツのリューネブルクに生まれる。1968‐1993年ビーレフェルト大学社会学部教授。1970年代初頭にはハーバーマスとの論争により名を高め、80年代以降「オートポイエーシス」概念を軸とし、ドイツ・ロマン派の知的遺産やポスト構造主義なども視野に収めつつ、新たな社会システム理論の構築を試みた。1990年前後よりこの理論を用いて現代社会を形成する諸機能システムの分析を試み、その対象は経済、法、政治、宗教、科学、芸術、教育、社会運動、家族などにまで及んだ。1998年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
各システム内外のコミュニケーションが「盲目的」に進行する構造を、著者はオペレーション構造と呼ぶ。また、諸可能性に開かれたランダムなこの構造を秩序づける観察構造をさらに設定する著者がこれをゼマンティク構造と呼んで両者の関連を検討する背景には、アリストテレス以来分離された政治と倫理の統合への意志が感じられる。認識論からすると、人間は後者のゼマンティク構造における変動(第二次的進化)から前者のオペレーション構造に起きている社会の多極化と複合性の増大を記述し、従来の歴史の線状性を複雑性において捉え直す作業となる。2024/08/05