叢書・ウニベルシタス
水と夢―物質的想像力試論

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  • サイズ A5判/ページ数 363,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588008986
  • NDC分類 901.1
  • Cコード C1310

内容説明

生命の元素、“水”の詩学。かぎりなく流動と循環を繰り返し、海水にも淡水にも、泥にも乳にもなる水。この元素は人間を、ときに温かな母性の幸福へ、ときに冷たく孤独な死の危険へといざなう。詩句や神話に表現された水のイマージュへの「物質主義的」分析が、“新しい批評”の時代を予見させた記念碑的著作。詳細な註とともに、約40年ぶりの新訳でよみがえる。

目次

第1章 明るい水、春の水と流れる水―ナルシシスムの客観的条件、恋する水
第2章 深い水‐眠る水‐死んだ水―エドガー・ポーの夢想における〈重い水〉
第3章 カロン・コンプレックス―オフィーリア・コンプレックス
第4章 複合的な水
第5章 母性的水と女性的水
第6章 純粋と浄化、水の倫理
第7章 淡水の優位
第8章 荒れる水
むすび 水のことば

著者等紹介

バシュラール,ガストン[バシュラール,ガストン][Bachelard,Gaston]
1884‐1962。フランスのバール=シュル=オーブに生まれる。故郷の高等中学を卒業後、電報局職員などをしながら独学。ソルボンヌ大学で数学の学士号をとり、1919年から母校の物理・化学の教師となる。22年、哲学教授資格試験に合格。27年、学位論文『近似的認識試論』により文学博士となり、ディジョン大学文学部教授をつとめる。40年、ソルボンヌ大学で科学史・科学哲学の教授となる。物理学、化学、心理学、精神分析、哲学の諸成果を幅ひろく吸収して、科学とポエジーを統一的に捉える独自のエピステモロジーを構築。61年に文学国家大賞受賞

及川馥[オイカワカオル]
1932年宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。フランス文学専攻。茨城大学名誉教授、前愛国学園大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

64
二週間余りを費やして通読。とてもじゃないが読んだ(理解できた)とは云えない。が、ひたすら想像力を刺激され続けた。本文もだが、詳細な原註・訳註も漏らさず目を通した。気になる文献などは手元のスマホでチェック。読みたい本登録の山が高くなった。おそらく大半は図書館か古書店に頼るしかないし、実際には目にすることもないだろう。 2023/09/15

やいっち

57
バシュラールには何か、形そのままに残したい守りたい至福の時空間=真理があるように感じられる。その至福の次元を実現させるものは詩に他ならないと彼は考えている。  その詩とは、単なるイメージ(我々が思う、ただのイメージに過ぎないという時のイメージ)ではなく、物質としての詩的イメージの世界なのだ。バシュラールの言葉を借りれば、詩的想像力、さらには物質的想像力によって実現される現実の時空なのである。2009/09/21

内島菫

27
水という元素から得られる物質的想像力の私たちへの影響力―禊が示す浄化作用、ナルシスの水鏡、死と水の結合である三途の川、そこへ女性美が絡むオフィーリア・コンプレックス等―は、最も根源的なヴァーチャル・リアリティ(=リアリティ)ではないかと思えた。つまり、人は実際に現実にある物質だけを見ているわけではなく、そこには必ず物質的想像力が伴っているということだ。昨今の視覚(ヴィジョン)に頼りすぎる傾向の帰結として形体や色に気をとられがちだが、物の元素的質感や力動に触れる五感と直感の働きはもっと見直されるべき。2016/04/28

やいっち

6
二週間余りを費やして通読。とてもじゃないが読んだ(理解できた)とは云えない。が、ひたすら想像力を刺激され続けた。本文もだが、詳細な原註・訳註も漏らさず目を通した。気になる文献などは手元のスマホでチェック。読みたい本登録の山が高くなった。おそらく大半は図書館か古書店に頼るしかないし、実際には目にすることもないだろう。2023/09/15

Cat

2
しばらく水で死にたくなります。2018/03/08

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